井手口 ハリル監督がキッカー指名も「嫌だな…他の人が蹴った方がいいのに」

2017年09月01日 05:30

サッカー

井手口 ハリル監督がキッカー指名も「嫌だな…他の人が蹴った方がいいのに」
<日本・豪州>後半、ゴールを決める井手口(左) Photo By スポニチ
 【W杯アジア最終予選B組   日本2―0オーストラリア ( 2017年8月31日    埼玉 )】 誰しもが足が止まる時間帯で、誰よりも元気だった。1―0の後半37分、敵陣左サイドでパスを受けた井手口は中央に切れ込んだ。「パスは考えてなかった。枠に入れば良いと思った」。フィジカルの強いオーストラリアDF1人を引きずりながら豪快に振り抜いたシュートは、GKの手をはじいて豪快にネット右上に突き刺さった。
 「大舞台で監督に使ってもらったので、絶対に結果を残すという気持ちがゴールにつながった」。妻と子供、そして母親らが見守る前で、W杯アジア予選では史上3番目に若い21歳8日でのゴール。「頭が真っ白になりました。決めた時?うーん…持ってる人だなと思いました」。W杯を決定づける一発に、あどけなさの残る顔で満面の笑みをつくった。

 いい意味で天然、鈍感だ。前日30日にスタメン出場が決まった。そこに加えてCKなどセットプレーのキッカー役にも指名された。21歳で寄せられたハリルホジッチ監督からの信頼。それでも「嫌だな…と。他の人が蹴った方がいいのに」と思ったと笑わせる。さらに緊張感が高まる一戦を前にしながら「オーストラリアって強いんですか?」と聞いて、周囲のチームメートを驚かせた。ヒーローインタビューでは驚異のスタミナを称えられると「…たまたまです」と珍回答。井手口ワールド全開だった。

 ユース時代から将来を嘱望され、足腰は柔道有段者と乱取りをしても投げられないほど強じんだ。その下半身に支えられ、粘り強い守備だけではなく、後半終了間際には膝下だけで振り抜く鋭いサイドチェンジを2本披露。A代表3キャップ目とはいえ、時間がたつにつれて攻撃の起点にもなった。「W杯までまだまだ時間があるので、もっともっと成長したい」。ロシアのピッチに立つ時、急激に進化する“怪物”がどこまで大きくなっているか楽しみだ。

 ◆井手口 陽介(いでぐち・ようすけ)

 ☆生まれ&サイズ 1996年(平8)8月23日、福岡県生まれの21歳。1メートル71、69キロ。兄の正昭はJFLのFC大阪。

 ☆キャリア 油山カメリアーズから、より高いレベルを目指すため、G大阪ジュニアユースに加入。同ユースを経て高校3年でトップ昇格。各年代で代表に選出され、17年6月7日の親善試合シリア戦でA代表デビュー。

 ☆愛称 G大阪の先輩・宇佐美は潜在能力の高さに「怪物」。リオ五輪代表の手倉森監督はひるまずボールを奪いに行く姿に「ケンカ番長」と名付けた。

 ☆イクメン 家族は妻と長女。愛娘をお風呂に入れるなど良きパパ。

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