成熟の川崎F連覇!13差逆転完結 家長が常勝への“新司令塔”
2018年11月11日 05:30
サッカー
道のりは平たんではなかった。相手は守備を固めるなど当たり前。10月7日の鹿島戦では、通常でも本拠に比べ倍近く長い芝が、パスサッカー封印のためにさらに伸ばされた。鹿島陣営すら「うちもやりにくかった」と漏らしたほどだった。過去の連覇チームと同様、得点力が下がったのは徹底的に対策を練られたから。連覇の難しさを味わった。
ただ、それを乗り越える原動力となったのが、昨年の初Vで自信を得た「自分たちのサッカー」。指揮官は昨季からの3原則(球際、攻守の切り替え、ハードワーク)をさらに徹底。「やることをやれば勝てる」(中村)、「体に染みついた」(登里)とチーム戦術は成熟度を増し、守備でも昨年以上の安定をもたらした。
大きな役割を果たしたのが、加入2年目の家長だ。昨オフ、古巣・G大阪からの破格オファーに心が揺らいだが、残留を決断すると開幕からフル稼働。昨年より劇的に進化したパス&クロスで違いを見せつけた。遠征先に自前の機材を持ち込む「セルフケア」の鬼で、体脂肪も常に9%台をキープ。普段は寡黙ながら敵、味方に関係なく尊敬を集める圧倒的な存在感に、チームも引っ張られた。
一昨季までチームを引っ張り続けた中村、主将就任で自覚が芽生えた小林。今季はそこに家長が加わり、チームの核は、さらに大きく頼もしくなった。ゼロックス杯、ACL、天皇杯と落としたが、長期戦のリーグでは成熟度の違いを見せつけた。「優勝して終わりじゃない」と家長。来季はさらなる熟成で黄金期を築きあげる。
【川崎Fデータ】
★連覇 V川崎(93、94年)鹿島(00、01年)横浜(03、04年)鹿島(07〜09=3連覇)広島(12、13年)に次いで川崎Fが延べ6チーム目。
★監督 鬼木達監督は監督就任1年目から連覇。初采配からJ1を連覇した監督(海外での采配も含む)は松木安太郎監督(V川崎)森保一監督(広島)に次いで史上3人目。
★敗戦でV決定 96年鹿島(●0―5)04年第2ステージの浦和(●1―2)に次いで14年ぶり3チーム目。
★逆転優勝 第13、14節(5月12日)終了時には首位広島と勝ち点13差。J1史上最大の逆転優勝は14年G大阪の勝ち点14差(首位浦和=残り20試合)。今回はこれに次ぐ逆転V。
★堅守 昨季の71得点から、今季は53得点と大幅減。それでも連覇できたのは、1試合平均失点が昨季の0.94点→0.81点、1点差勝ち9試合(昨季は7試合)と堅守と勝負強さが光ったからだ。
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