ワイン党のFC東京アルベル新監督 時間を掛けて熟成されたポジショナルサッカーを
2022年02月13日 07:30
サッカー
港町出身で魚介類が特に好きだというアルベル監督だが、赤白のワインに合うおすすめの料理について話す時も口が滑らかになる。「カタルーニャ地方の『パンコントマテ』(トマトを塗ったトースト)、イベリコ豚の生ハム、日本の素晴らしい和牛は、赤ワインにとても合う。白ワインはやはりフレッシュな魚料理だ」。休日には家族のために、自ら料理の腕を振るうことも多い。「家にいる時は台所に立って、妻を満足させている。皆さんも台所に立った方がいい」と、家事を手伝わない日本人男性にアドバイスを送る。
今季から就任したFC東京でも、東京に合う、質の高いサッカーをつくり上げていく。「首都の東京にあるクラブとして、素晴らしい、魅力的な注目に値するフットボールを表現することを目指したい」。アルベル監督が導入するのは「ポジショナルサッカー」。細かいポジショニングを徹底しながら、ボールを動かしてゴールを奪う。選手にも「ポゼッション」ではなく「ポジショナル」と言うように指摘するこだわりようで、“女性を扱うようにボールを愛し、やさしく扱うように”とジョークを交えて指導するなど沖縄キャンプから戦術の浸透を進めている。
ただ、ワインのように、ポジショナルサッカーを熟成させるには時間が掛かる。「日本文化は美しい、賢いものを好む。それを成し遂げたいと思うが、時間が必要だ。美しい城を建築するには長い時間が必要だが、時間を掛けて建築した城は長い間続く」。2月18日の川崎F戦から開幕する今シーズンの目標として、優勝や順位を設定することはない。「勝ちにこだわり、勝利を目指し、日々成長することに全力を注ぐ。私自身にも選手たちにも求めている」。濃厚で味わい深いポジショナルサッカーになるまで、アルベル監督の“仕込み”に期待したい。(砂田 隆志)