浦和・酒井宏樹 自身3度目W杯へ決意「一度経験したものは失われない」
2022年09月20日 04:00
サッカー
「特別な存在になれていないシーズンだった。何があっても右サイドバックは自分という立ち位置を築けた中で、最後は現状で一番いい選手が自分という感じ。それが耐えられなかった。思いのあるチームだったので、これでもう1シーズンやるのは失礼だなという気持ちがあった」
19~20年は左足首に痛みを抱えながらピッチを駆けた。満足なパフォーマンスとは言えず、20年3月には左足首を手術。徐々に気持ちは移籍に傾き、日本を選択させた。欧州5大リーグで十分に戦える実力を持ちながらの帰国。「家族や代理人は賛成していなかった」。大切な人からの「まだなんじゃないか」という思いはうれしかったが、後悔などなかった。
一抹の不安はあった。フランスよりもプレー強度の低いJリーグに「慣れた」と感じるようなら、ブラジル代表MFネイマール(パリSG)らを封じ込んでいた頃よりプレーの質は確実に低下するだろう。ただ、「自分のポジションはJリーグの中でも対面する相手が外国籍選手が多い」ことが幸いだった。
7月のパリSG戦で、その言葉が強がりでないことを証明した。メッシ、ネイマール、エムバペ。世界を代表するアタッカーが名を連ねるスター軍団との一戦。「一度経験したものは失われないんだな、と。強度に関しては普段あまり味わっていなくても、いい選手と対面すれば、合わせることはできるんだなと思った」。自らの気持ちにうそをつけずに欧州から戦いの場を移した。しかし、経験は色あせない。十分に世界トップと対峙(たいじ)できる手応えとともに、自身3度目のW杯へとまい進する。