町田の元北朝鮮代表FW鄭大世が現役引退「最高に痛快なサッカー人生 胸を張ってスパイクを脱ぎます」
2022年10月28日 18:51
サッカー
W杯後にドイツ2部ボーフムへ移籍。その後ケルン、韓国・水原を経て15年に清水に移籍し、Jリーグに復帰。新潟への期限付き移籍を経て21年から町田でプレーしていた。今季はJ2リーグ戦34試合に出場し6得点。J1通算は181試合65得点、J2通算130試合46得点。
鄭大世はクラブを通じてコメントを発表。17シーズンに渡ったプロサッカー人生を振り返り、「悠然と胸を張ってスパイクを脱ぎます」とコメントした。
コメント全文は以下の通り。
裏山の鶯の鳴き声で目を覚ます。そんな清々しい朝を迎えてた町田での2年間最後の最後まで。本当に最後の試合まで苦しかった。
これを遅くに書き上げた後に夢で、外されてるのに怒鳴られる夢でうなされ、朝思わず加筆した。
現実もそんな日常だった。
全て伏線だと言い聞かせ、この“痛みや苦しみ”は自分だけの花を咲かせるためだと愚痴りながらも、食らいついた
自分と、周りが思う今の質の差にも薄々気がついてたが
年甲斐もなく、まだできる!とギラついてたけど、変わることはなかった。
苦しさは変わらずで、こんな歳でも、悔しくて何度も泣いた。
でも喜びは、喉が裂けるほど咆哮したあの頃とは、もう違う。
同世代に勇気づけられ、ひと回り下に慰められた。歳の半分以下の選手たちと鎬を削った
幼き頃、買ってもらったユニの袖のJリーグのエンブレム
太くなった腕の袖のそれを見るたびに、胸が熱くなった。
何年も前から、今日が最後かもと毎試合トイレに篭り嗚咽を漏らして泣いてた。
酸いも甘いも味わい、綺麗事だと思ってたあの言葉も、今なら素直な気持ちで言える。
『みんなのおかげ』
こんな性格じゃなかったらもっといい景色が見えたかも?
こんなエゴイストだからここまでこれた?
違う。みんなの支えで今がある。
後悔や、人としての失敗は数え切れないけど
はっきりと言える。これが『ベスト』。
砂埃舞う大学都リーグ3部からのし上がった、最高に痛快なサッカー人生。
多くをサッカーからもらい、今は心が満たされてる。
あの頃想像もできなかった舞台で夢中で走った17年間に、
終了の笛を吹き、終止符を打つ。
悠然と胸を張ってスパイクを脱ぎます。
エゴイストなくせに馬鹿みたいに繊細で感情的な、こんな僕に関心を持ってくれて
ありがとうございました。