オジェック氏 断言できる!ドイツは日本をなめない 4年前韓国に敗れ1次L敗退の悪夢…

2022年11月19日 04:25

サッカー

オジェック氏 断言できる!ドイツは日本をなめない 4年前韓国に敗れ1次L敗退の悪夢…
12日に行われた阿部勇樹氏の引退試合で笑顔を見せるオジェック氏 Photo By スポニチ
 日本の対戦国のレジェンドを直撃する「レジェンド・ポイント」最終回は90年W杯イタリア大会を制した西ドイツ代表でアシスタントコーチを務めたホルガー・オジェック氏(74)。Jリーグの浦和を2度指揮した同氏は国際サッカー連盟(FIFA)技術委員も務めた分析の専門家でもある。5度目の世界一を狙う母国の現状を冷静に見ている。(取材・構成 福永稔彦)
 前回ロシア大会でドイツは初めて1次リーグで姿を消した。初戦でメキシコに0―1でつまずくと2戦目でスウェーデンを下したものの最終戦で韓国に敗れた。惨敗から4年。オジェック氏は母国の成長を実感している。

 「4年前のロシア大会以後、若い選手たちがいい進歩、発展を遂げた。核になるのはキミヒ、ゴレツカ、ニャブリら。大切なのは彼ら以外の選手の役割がしっかりと確立できているかどうかだ」

 中心選手としてボランチのキミヒ、ゴレツカ、右サイドのニャブリを挙げたが、特に期待しているのがムシアラ。トップ下などを務めるBミュンヘンのアタッカーだ。

 「ムシアラはブンデスリーガ(ドイツ1部リーグ)、欧州CLでいいプレーをしていて代表でも重要な役割を担っている。テクニックが素晴らしいし、スピードもある。それから相手の裏を突く、相手が全く想像もできないようなプレーをする。シュートもうまい」

 ドイツには、他にもサネら強力なサイドアタッカーがいる。一方で1トップの人材不足が指摘されている。

 「CFに選手がいないので、選手をうまく配置してシステムを変化させなければいけない。既に何回か試しているが(トップ下が主戦場の)ハーバーツをFWの位置に持っていく戦い方もある」

 浦和で2度指揮を執ったオジェック氏は日本サッカーにも精通している。森保ジャパンにはどういう印象を持っているのか。

 「ブンデスリーガで活躍している日本人選手にはずっと注目している。彼らはリーグで戦っているだけではなく、チーム内で発言権がある中心選手だ。中でも注目している選手は鎌田だ。彼は得点能力が高い。ブンデスリーガでもゴールを重ねているので、ドイツのDF相手でもチャンスをものにするだろう」

 オジェック氏はオーストラリア代表監督として11年アジア杯決勝で、ザッケローニ監督率いる日本代表と対戦。延長戦の末に0―1で敗れてタイトルを逃した。以後11年間の日本サッカーの進化をどう評価しているのか。

 「選手も替わったし、ジェネレーションも変わった。比較は難しいが、一つ言えるのは日本人選手が非常に進歩したということだ」

 ではFIFA技術委員を務めた経験もある分析の専門家は、日本―ドイツ戦の試合展開をどう予想するのか。

 「一つ断言できるのはドイツは日本をなめない。ロシア大会のドイツは、あるチームのせいで1次リーグを勝ち抜けなかった。だから絶対に日本をなめてこない。日本人は目標を達成するためにやるべきことを全てやる。非常に興味深い試合になるのは間違いない」

 「あるチーム」とは韓国を指す。ドイツはロシア大会1次リーグ最終戦で突破の可能性を残しながら韓国と対戦し、終了間際に2点を失い0―2で苦杯を喫した。だからアジア勢相手に油断するはずがないというわけだ。

 「大きな大会では初戦の結果次第で2戦目、3戦目の流れができる。だから重要な試合だ。そして間違いなく先制点がポイントになる。得点が入ることでモラル、気持ちが一気に解放されるからだ」

 5度目の優勝を狙うドイツはどこまで勝ち進むのか。オジェック氏はここでも慎重な姿勢を崩さない。

 「まさしく日本戦にかかっている。いろんな人が有名な国を優勝候補として挙げているが、今大会はそういう国が簡単に勝てる大会ではない」

 日本はベスト8以上を目標に掲げている。その可能性についても聞いてみた。

 「ホワイ・ノット?W杯は何が起こってもおかしくないユートピアだ。日本は非常にいいチームだし可能性は高いと思う。浦和サポーターをはじめ日本のファンは熱狂的だ。彼らのサポートがチームにもっと強い力を与えてくれれば、勝ち進む可能性はさらに高まると思う」=終わり=

 ◇ホルガー・オジェック 1948年8月31日生まれ、ドイツ・ホンベルク出身の74歳。現役時代はドイツ下部リーグなどでプレー。引退後は87年から西ドイツ代表アシスタントコーチを務め、90年W杯イタリア大会優勝に貢献。ボーフム、フェネルバフチェ、カナダ代表、オーストラリア代表などの監督を歴任。95~96年、07~08年に浦和監督を務め07年ACL優勝。現在はFIFAで選手や指導者の育成に携わっている。

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