川崎F・鬼木監督が退任発表の庄子春男元GMに感謝の思い 「勇気づけられた」19年の食事会とは
2023年03月09日 19:02
サッカー
同氏と約25年、クラブで苦楽をともにしてきた鬼木監督は「このクラブのいいときも悪いときもいろんな状況の中で一緒に戦ってきたので、いろんな歴史を分かっている人がいなくいなるのは寂しいものがある」と話した。
出会いは現役時代の98年、鹿島から川崎Fにレンタル移籍した際、キャンプに合流するために空港まで車で迎えに来てくれたのが庄子氏だったという。「選手としての自分も、コーチとしての自分も、監督としての自分も知っている方」。以来、長い付き合いが始まった。わざわざ腰を据えて話さなくても気軽に相談ができ、そしてされる関係性でもあった。「困った時とか、苦しんでいるんじゃないかなというときに声を掛けてくれるので、頼りになる人」だった。
なかでも一番の思い出は、19年の食事会だという。17年、18年とリーグを連覇。だが、史上2クラブ目の3連覇を懸けて挑んだ19年は、なかなか結果が出なかった。シーズン途中のそんなおり、事業部のスタッフなどが集まるクラブの大規模な食事会があった。通常、現場スタッフは参加しないその食事会に、庄子氏が声を掛けて呼んでくれた。
「自分の立場としては結果が良くないときなので、顔を出しづらいというのがあったんですが、“こういうときだからこそだ”と連れていってもらえて。その場でいろんなスタッフの人がいろんな声をかけてくれた。“ああいうの(17、18年の優勝)を味わせてもらっているんだから、こういうときに俺ら頑張りますから”みたいに。ほんと勇気づけられましたね。そこからは、勝てなくても堂々としっかりしていく必要があるんだなと思いました」
クラブで働くスタッフの思いに、庄子氏が引き合わせてくれたからこそ生まれた感情だった。
クラブの歴史を誰よりも知る庄子氏が去る4月以降は、「自分にしか経験してきてないこともあるので、自分は自分でしっかりと伝えていくことが役目」と言う。退任までに残された試合は、11日の新潟戦を含めて残り3試合。指揮官は「少しでもいい形で送り出せるようなトレーニングと試合をしていきたい」と力を込めた。