中村俊輔氏 海外の強豪クラブとの親善試合に意義あり 世界基準の決定力をピッチ上で体感できる
2023年07月29日 05:20
サッカー
Bミュンヘンやセルティックを含め海外クラブの来日ラッシュに沸いた今夏。かつてレジーナ、セルティックの一員で凱旋試合を行った経験を持つ俊輔氏も、そういった試合が日本人選手にもたらすプラス効果は、計り知れないと分析する。
では具体的な効果とは何か。例えば、マンチェスターCと打ち合いの末に3―5で敗れた横浜。俊輔氏は2―3の後半27分にスペイン代表MFロドリが狭いスペースでパスを受け、狙い澄ましたミドルシュートを決めたシーンを例に挙げ、「欧州の選手はポジションが悪くても、決めきってしまう。ヘディングの高さ、体の強さ、一瞬一瞬のスピード、判断――。Jリーグではなかなか見られない。そういったプレーをピッチで実際に感じられるのは、映像で見るのとでは大違い。“こういうプレーは通じる”、“こういうゾーンは広いんだ”とか、いろんなことを感じられたと思う」と指摘した。
ただ一方で、自身の経験をもとに、注意すべき点もあると言う。05年のコンフェデ杯。俊輔氏も強烈なミドルシュートを決めるなど、日本代表は最強と言われたブラジルと互角の戦いを演じ、2―2で引き分けた。だが、1年後のW杯ドイツ大会では、1―4で惨敗。「親善試合で自分のプレーが出せても、一番大事なのは、勘違いしないこと。やっぱり本番は全く違うチームだし、間違った物差しをつくってしまうと、その後の成長にも影響してしまうから、難しい」。当時の経験と重ね、警鐘も鳴らした。
今回は05~09年に所属した古巣のセルティックも来日。練習のほか、横浜戦もスタジアム観戦した。チームはトットナムに引き抜かれたポステコグルー監督から、ロジャース監督に交代したばかり。それでも横浜の攻撃に対してスムーズな守備を披露し「やっぱり個の能力が高い」と感心させられたという。
セルティックは今季も欧州CLに出場する。日本人5選手の活躍を期待する俊輔氏が、中でも注目するのが日本代表MF旗手だ。
「横浜戦ではミスもあったけど、まだまだ伸びしろがあると感じた。ポジションもどこでもできるし、味方に生かされる回数が多い選手だから、強いチームに行けば行くほど、もっといいプレーができると思う」と期待をかけた。
(取材・構成 垣内 一之)