梅山修氏 “全員が戦力”をJ1で実践する新潟の信念に拍手 4人の選手交代が生んだ同点劇

2023年09月05日 07:15

サッカー

梅山修氏 “全員が戦力”をJ1で実践する新潟の信念に拍手 4人の選手交代が生んだ同点劇
落ち着いてJ1初ゴールを決めた小見 Photo By スポニチ
 天皇杯準々決勝から中2日で迎えた浦和戦。この日もスタートメンバー11人全員を入れ替えて臨んだことで、コンディション的な心配は不要だった。ただ、疲労が残っていない選手で戦うことは合理的と言えるが、必ずしもそれがいい結果につながるとは限らない。それを承知でこの決断をする勇気にまず拍手を送りたい。
 ちなみに紅白戦をすると、いわゆる控え組が勝つのはよくあることで、これは技術や戦術を超えたところにも勝敗を左右するポイントがあることを示唆する。

 前半のPKによる失点は、直前のCKで新潟の守備がゾーンとマンツーマンの併用で、マンツーマンにつく4人以外はフリーになることを浦和が事前に知っていたのだろう。そのマークを引きつけることで、フリーな選手をつくってシュートを打たせていた。シュートが手に当たってしまったのは不運としか言いようがないが、スカウティングの戦いも垣間見えた瞬間だった。

 攻撃では、第25節の鹿島戦でも見られたが、相手陣内に入ったところで4―4―2のブロックを敷いて構えられると、やや停滞してしまう傾向がある。それを打ち破ったのが、後半28分の小見、三戸、秋山の3枚替えと、34分の松田の投入だ。この時間帯に速い選手とそこへの配球役をセットで替えて、一気に場面チェンジを図るのは計算されたプランだったのだろう。結果的に同点ゴールはこの4人が直接関係して生まれている。

 ゴールキックからいったん左サイドの堀米、秋山、三戸で時間をつくって相手を集結させ、右の松田へ。松田は左に集結していた相手選手が右にスライドしてくる勢いを逆手にとり、コントロールでかわして長倉にパス。相手に当たってこぼれたところを小見が落ち着いて蹴り込んだ。“落ち着いて”と書くと簡単な表現になるが、ゴール前で弾んでいるボールを自分のタイミングまで一瞬、蹴るのを待てた冷静さは素晴らしかった。

 結果的に悔しい引き分けとなったが、選手交代のタイミングなどのチームマネジメント、実際にプレーで自己表現する選手、そして“全員が戦力”をJ1で実践する新潟の信念に拍手を送りたい。(アルティスタ浅間監督)

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