神戸・吉田監督 “覚悟”決めた3度目の就任で孤独に耐えた「やっぱ神戸が好きなんだろうねえ」

2023年11月26日 05:50

サッカー

神戸・吉田監督 “覚悟”決めた3度目の就任で孤独に耐えた「やっぱ神戸が好きなんだろうねえ」
<神戸・名古屋>胴上げされる吉田監督(撮影・中辻 颯太) Photo By スポニチ
 【明治安田生命J1リーグ第33節最終日   神戸2―1名古屋 ( 2023年11月25日    ノエスタ )】 両手で力強くガッツポーズし、しゃがみ込んだ。「このクラブに計14年いる。特別な思いは皆さんと同じ。この優勝は間違いなく神戸ファミリーの皆さんでつかみとったものです」。4度宙に舞った吉田監督は万感の思いを口にした。
 神戸で監督を務めるのは3度目だ。残留争いに巻き込まれた昨年6月下旬、白羽の矢が立った。本心では就任に消極的だったが「変えられるのは自分しかいないと思った」。覚悟を決めた。

 孤独を感じる時もあった。昨年8月のACL準々決勝・全北戦(韓国)。MFイニエスタらを先発起用せず、敗れた。選手から厳しい声も聞かれた。残留を最優先した苦慮の人選はクラブとしての共通見解だったはずだが、選手にまでは伝わっていなかった。ACL後はネットなどで誹謗(ひぼう)中傷にさらされ、精神的に追い込まれた。クラブは辞任も覚悟し、J経験のある指揮官をリストアップ。話し合いの末、クラブの全面支援を取り付けて決着したが、危機的状況に陥っていた。

 今夏退団したイニエスタの起用で物議を醸した。前線からのプレスと運動量がベースの戦術採用で、技術に秀でる世界的名手は出番が激減。クラブやファンの思いは理解しつつ「去るのは監督だけ」と決して譲らなかった。そこには過去2度の監督就任経験からくる“変革”があった。

 「理想ばかりを追い求めていたのが過去だったかもしれない。今回は勝利にフォーカスするようになった」。基準に達しない若手に厳しく言い放つ時もあった。そこにはクラブを立て直す強い覚悟があった。地元、兵庫の出身。「何だろう、やっぱ神戸が好きなんだろうねえ」。にこやかに笑うその目は愛に満ちあふれていた。

 ◇吉田 孝行(よしだ・たかゆき)1977年(昭52)3月14日生まれ、兵庫県川西市出身の46歳。滝川二を経て95年に横浜F入団。横浜F消滅後は横浜、大分、神戸を経て13年に引退。15年に神戸コーチに就任し、翌16年ヘッドコーチ昇格。17年8月、ネルシーニョ監督の後任として監督就任。18年9月に退任。19年4月に2度目の就任をし同年6月退任。J2長崎のコーチや監督を歴任し22年に神戸強化部スタッフで復帰。同年6月に3度目の監督就任。J1通算356試合53得点。1メートル74、67キロ。右利き。家族は妻と娘。

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