中村俊輔氏が欧州選手権総括 崩しの“トレンド”体現 17歳ヤマルのドライブクロス
2024年07月22日 05:00
サッカー
![中村俊輔氏が欧州選手権総括 崩しの“トレンド”体現 17歳ヤマルのドライブクロス](/soccer/news/2024/07/22/jpeg/20240721s10002029419000p_view.webp)
「(イングランド)プレミアリーグでも多いけど、大会全体を通じて、ペナ角(ペナルティーエリアの角)のところから、かなりインスイング(のクロス)が入っていた。“はめ技”じゃないけど、あれはDFがかなり守りづらい」
インスイングとはボールの回転によってゴールに近づく方向に曲がるキック。俊輔氏自身も得意としたプレーで、利き足で、利き足と逆サイドから蹴るボールは特に効果が高いとされる。
現代サッカーの攻撃ではゴールの正面を除いた左右のエリア、いわゆる「ポケット」の攻略が定石だ。ただ俊輔氏は「どのチームもいろんな戦術がある中で、ポケットに進入されてもストッパーがつり出されないで、ボランチがついて行くとか、トップ下の選手が戻ってきたりとか、免疫ができつつある」と指摘。その中で2次攻撃として流行しつつあるのが「崩しきれない中で(サイドを変えたり)もう一回やり直さなくていいのが、このペナ角からのインスイングと、ペナ角のワンタッチのセンタリング」という。
そのインスイングを武器に、準決勝のフランス戦で16歳362日の大会最年少得点を記録するなど活躍したのがヤマルだ。最近では日本代表MF久保、バックアップメンバーとしてパリ五輪出場に備える山田楓喜(23=東京V)も得意とするキックだが、ヤマルは2人の横回転と違い、球質がドライブ回転で「ボールが上から降ってくるから、センターバックの背後の選手を誰も見られない。センターバックは自分の前の選手をマークする。その後ろの味方のサイドバックは、自分のマークに付いているから、そこに誰かがスッと入ってくると、ファーポストにドンと行かれる」という。
「ヤマルはそもそもキックの感覚と質は高いけど、横にドリブルしながらも蹴れるし、全力疾走で斜めにドリブルできる。視野も広いし、あのポジションで本当にぴったりというか、特化したプレーで、それがチームにもはまっている」
大岩ジャパンが出場するパリ五輪でもインスイングから多くのゴールが生まれるかもしれない。
▽ヤマルの欧州選手権 スペイン代表の一員として1次リーグ第3戦のアルバニア戦を除く6試合に先発し、準決勝フランス戦では16歳362日の大会最年少得点を記録するなど大会を通じて1得点4アシストをマークし、母国優勝の立役者となった。大会中に中学(スペインでは4年制)の宿題をする姿も話題を呼び、7月13日に17歳の誕生日を迎えた。