朝青龍 北の湖に並ぶ20度目全勝ターン
2009年01月19日 06:00
相撲
大相撲優勝額
】
常に優勝を義務づけられている横綱でも「勝ち越し」には特別な思いがあるようだ。ピンと張りつめた打ち出し後の支度部屋。安美錦を気迫の相撲で退けた朝青龍は笑顔こそ見せなかったが「ひと息ついた感じで安心した」と本音を口にした。
どうしても勝ちたい意欲が出番前から表れていた。安美錦は対戦成績こそ14勝5敗だが、この2年で3敗を喫している難敵。準備運動では、付け人を相手にのど輪とおっつけのコンビネーションを繰り返すなど、いつになく“戦略”をめぐらせていた。土俵下の控えでは白鵬の気迫の相撲に体内の闘志が燃え上がり、給金をかけた土俵へ。一度は安美錦に突っかけられたが、抜群の集中力を見せる朝青龍は全く動じない。右手で張って先制すると、右ののど輪で起こしながら相手の右手を左手で抱え込んで殺す、想定通りの攻めを披露。あまりの圧力に安美錦は尻もちをつき、痛めている右ひざを負傷するなど、クラッシャーぶりも見せつけた。
白鵬が横綱に昇進後、モンゴルの2横綱がそろって中日で勝ち越したのは初めて。「前の横綱(白鵬)がいい相撲を取った。それから気迫が出て、それが勝ちにつながった。2人でいい相撲を取った」と興奮気味に話した。
1週間前は進退問題で騒がれていたが、ふたを開ければ北の湖と並ぶ20回目の全勝ターンを決めた。武蔵川理事長(元横綱・三重ノ海)は「もう進退なんて考えなくてもいいんじゃないか。(中日まで)無傷で来るとは…。しのぎながらも徐々に自分の相撲を取り戻すのはさすが」と評した。
2横綱がともに中日で勝ち越したのは01年初場所の武蔵丸、貴乃花以来(曙は全休)8年ぶり。83年秋場所の隆の里―千代の富士以来となる千秋楽全勝決戦の機運も高まってきた。「まだまだ。何も考えていない。1日ずつだよ」。相変わらず言葉は慎重だが、クラッシャーぶりを発揮した相撲内容が完全復活を物語っていた。
≪安美錦 右ひざ半月板挫傷≫安美錦が、文字通り痛い1敗を喫した。朝青龍の突き押しに後退し、土俵際で右ひざが崩れて腰から落ちた。付け人の肩を借りて支度部屋へ引き揚げ、国技館内の診療所で検査を受けて右ひざの半月板挫傷と診断された。「土俵際で残れると思ったらゴリッといった。自分はひざが悪いのを忘れてたよ」。帰り際は陽気に振る舞ったが、足は引きずったまま。9日目の出場は当日の状態を見て判断する。
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