女王・吉田 見せつけた強じんな精神力「負けを知って強くなれた」

2012年08月10日 06:32

レスリング

女王・吉田 見せつけた強じんな精神力「負けを知って強くなれた」
女子55キロ級で優勝、父栄勝コーチ(上)を肩車し、栄和人監督(左)とともに喜ぶ吉田沙保里
ロンドン五輪レスリング
 女子55キロ級の吉田沙保里(29=ALSOK)が04年アテネ大会、08年北京大会に続く五輪3連覇を達成。個人種目では柔道の野村忠宏、前日の63キロ級・伊調馨(28=ALSOK)に続く日本人3人目の快挙となった。

 世界選手権、五輪を合わせ12度目の頂点で、「霊長類最強の男」と呼ばれたアレクサンドル・カレリン氏(44=ロシア)に並ぶ偉業も達成。吉田は「最高の笑顔で終わりたいと言っていたし、心から幸せと感じた」と言い、勝利の瞬間もうれし涙を「こらえた」という。

 昨年からスランプに陥り、今年5月の国別対抗戦W杯で19歳のワレリア・ジョロボワ(ロシア)に敗れ、4年ぶりの黒星を喫した。栄監督ですら「正直、難しいと思っていた」という五輪本番。吉田は不安は「あった」と明かし、試合前夜は「目をつぶると相手の顔が浮かんできて、初めて眠れなかった」という。

 しかし、「無心」で臨んだ本番では手堅い試合運びで4試合で相手に1ポイントも許さず、頂点に駆け上がった。準決勝では「対戦したい気持ちもあったし、怖い気持ちもあった」ジョロボワに雪辱し、決勝ではライバルのバービークを返り討ち。「負けることは考えなかった。ここで暴れて勝たないと、と思っていた。ここで負けたら全て終わり、ここで最後と思ってやった」と心境を明かし、「負けを知ってまた強くなれた。大事な試合で勝てればいいなと思うようになった」と精神力の強さを見せつけた。

 3連覇を達成し、笑顔で父・栄勝コーチを肩車した吉田。「重かった。父親は照れ屋だからなかなか表に出ないけどやれて良かった。一緒に喜べたのは最高に幸せ」と娘の顔を見せた。

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