白井 連覇ならず銀…“戸惑い”ラインオーバーで痛恨減点
2014年10月12日 05:30
体操
痛恨の減点で連覇が消えた。種目別決勝が行われ、男子床運動の白井健三(18=神奈川・岸根高)は、15・733点で銀メダルに終わった。ラインオーバーで0・1の減点があり、15・750点で優勝したデニス・アブリャジン(ロシア)にわずか0・017点及ばず。同種目で66年と70年に優勝した中山彰規以来、日本勢44年ぶりの連覇はならなかった。加藤凌平(21=順大)は15・466点で6位だった。
連覇を逃したことが分かると、ひねり王子が両手を腰に当てて苦笑いを浮かべた。Dスコア(演技価値点)7・4点とライバルを圧倒する高難度の構成で勝負したが、ラインオーバーのミスが響き、0・017点差の2位。超人的なひねりで世界に衝撃を与えた昨年の再現はならず、白井は「凄く悔しい。応援に金メダルで返したかった」と肩を落とした。
大技以外に落とし穴があった。自身の名がつく「シライ2」「シライ/ニュエン」は決めたが「前方宙返り2回半ひねり」の蹴りのタイミングがずれた。12メートル四方のフロアから着地でわずかに右足がはみ出した。痛恨の減点。「予想外。でも、それが出るのが世界選手権」。予選、団体の決勝に続いてラインを割り「練習と本番の会場で硬さが違う」と戸惑ったフロアに対応しきれなかった。
前日の10日、64年東京五輪開幕から50年を迎えた。半世紀前の夢舞台で日本選手団主将を務めた体操の小野喬氏から今大会前、「慎重かつ大胆に攻めろ」とアドバイスを送られた。20年東京五輪を狙う白井は「小野さんに言われると、重みが違う」と感激。世界を制した昨年は「勢いだけだった」と振り返る。今年は細かな部分も意識して臨んだが、まさに小野氏が指摘した「慎重さ」が明暗を分けた。
連覇には届かなかったものの、白井は無限のポテンシャルを秘めている。6月の右足首捻挫の影響で封印したが、Dスコア7・8点という驚異の演技構成を持つ。「チャンピオンではなくなったので、下から全力で追い掛けたい」。悔しい銀の輝きを糧に、ひねり王子が6年後のTOKYOへ前進する。
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