羽生 新時代作った史上初300点超え!無敵の安倍晴明見せた
2015年11月29日 05:30
フィギュアスケート
最強のプリンスが金字塔を打ち立てた。14年ソチ五輪男子金メダリストの羽生結弦(ゆづる、20=ANA)が前日(27日)のSPに続き、フリーでも完璧な演技を披露して216・07点の世界最高得点をマーク。合計は史上初めて300点を超える322・40点で2位の金博洋(18=中国)に55・97点差をつけてGP通算5勝目を挙げた。スーパー世界新でファイナル(12月10日開幕、スペイン・バルセロナ)進出を決め、男子初の3連覇に挑む。
フィニッシュの前から、もう笑みが浮かんでいた。完璧な4分30秒を終えた羽生が、右手を突き上げ、そして勢いよく振り下ろす。リンクから引き揚げる際には、右人さし指を立てて猛アピールだ。会場全体が沸く中、示されたスコアは史上初めて合計300点を超える322・40点。最強のプリンスが、男子フィギュア新時代の到来を告げた。
「正直、興奮していてなんて言ったらいいか分かりません。ただ…、正直にうれしい。皆さんも凄く点数に驚かれたと思うし、自分も驚いている」
冒頭に4回転サルコー、続いて4回転トーループに成功。基礎点が1・1倍になる演技後半にはトーループの4―2回転を予定していたが、4―3回転と難度をアップ。最後の3回転ルッツを降りると早くもガッツポーズだ。技術点は出来栄え評価で23・08点も加点。演技点の「音楽の解釈」の項目は、ジャッジ9人中6人が10点満点をつけて9・89点。映画「陰陽師」に乗ったフリー。平安時代にタイムスリップした氷上には、無敵の安倍晴明がいた。
「まだ演技が良かった実感が湧いていない。フワフワした感じ。一つ一つ自分の気持ちを込めて、自分の体を信じて演技した」
過去を現在に生かす。14年ソチ五輪は金メダルを獲得したものの、戴冠を意識してフリーでミスが出た。この日も演技前にフリー200点、合計300点超えが頭をよぎったが、夢舞台を思い出して冷静に。「プレッシャーを自分で認められた。コントロールできた」。昨季の中国杯の激突事故で自分を責めた羽生は以降、他のスケーターに、これまでよりも注意を払い、元気にリンクに立てるありがたみも実感。死すら覚悟した経験も、今に生きている。
ソチ後、ライバルから追われる立場になった。黄金に彩られた戦績から錯覚することもあるが、羽生は来月7日で21歳になる若者だ。「僕、年寄り扱いされていますけど、まだ20歳なんですよ」。17歳の宇野昌磨、中国の18歳・金博洋ら年下の台頭にも、「先輩だからとかいう気持ちはないし、勝ってやろうと思っている」と言う。中性的なルックスに宿す闘争心が、進化を支えている。
12月のファイナルでは男子史上初の3連覇を狙う。「まだこれが(18年)平昌五輪でもないし、引退の試合でもない。これからもっともっと頑張って、点数じゃなくて、いい演技、皆さんの心に残る演技を目指していきます」。まだ満足感には 浸らない。自分を超えるための闘いが今、始まった。
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