有村智恵 故郷・熊本思い国内復帰、初日いきなり1差発進
2016年06月10日 05:30
ゴルフ
米国から国内ツアーに復帰して初戦の有村智恵(28=日本HP)が、首位と1打差の3位スタートと好発進を決めた。上がり3ホールを3連続バーディーで締め、6バーディー、1ボギーの67の好スコア。米国では付いて回るギャラリーが少なく、声援に応える“バーディーポーズ”のやり方さえも忘れていたが、改めて日本ツアーの温かい声援に発奮。1週間前から始めたメンタルトレーニング効果も表れた。
忘れかけていた緊張感を思い出した。最終9番。グリーンを囲んだ多くのギャラリーの視線を浴びながら、有村が10メートルのバーディーパットを沈めた。3年間戦った米ツアーでは一度も味わったことがない観客の大歓声。ファンの声援をプラスに変えて、首位と1打差の好発進だ。
「(米下部ツアーの)シメトラツアーだと、拍手もない。(声援に応える)手の上げ方も忘れてしまっているぐらいだった。成績を残していないアジア選手は、アメリカでは静かにゴルフをするしかない。(今日は)もう、楽しかったです」
2012年までに国内ツアーで13勝を挙げ、13年から米ツアーに参戦。だが、思うような結果を出せず、下部ツアーが主戦場となった。日本復帰を決めたきっかけは故郷を襲った4月の熊本地震。一時帰国中には避難生活も経験し、「自分が結果を残すことで何かが変わるかもしれない」と5月に米ツアー撤退を表明した。
復帰戦となる今大会は約3週間ぶりの試合だった。そこで先週から取り組んだのが新しいメンタルトレーニング。「頭の中で緊張した場面をつくって、それを決めるイメージを何度もつくった。成功の思考回路を作ってきた」。上がり3ホールの3連続バーディーは、まさにそのトレーニング効果。「後半は入るイメージが凄くつくれていた」と納得の笑顔だ。
シード権がないため、現状では今大会を含めて最大9試合にしか出られない。推薦出場中心の限られた試合数でシード権を取るのは、容易ではない。だが、通算13勝を誇る実力者は「久々に優勝を味わってみたい」と愛くるしい笑顔をほころばせながら、4年ぶりの戴冠を見据えた。
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