キャブス、創設46シーズン目で悲願初V ファイナル初1勝3敗から戴冠
2016年06月20日 14:20
バスケット
1勝3敗から3勝3敗に持ち込んだケースでさえ1951年のニックスと66年のレイカーズの2チームしかなく、まさにV率0%からのミラクル優勝。この日27得点11リバウンド11アシストを挙げ、第7戦としてはファイナル史上3人目のトリプルダブルを達成したレブロン・ジェームズ(31)が、ヒート時代を含めて通算3回目のMVPに選出された。
試合は同点11回、逆転27回を数える第7戦としては過去に例を見ない歴史的なシーソーゲーム。89―89で迎えた第4Qの残り1分50秒、ウォリアーズのアンドレ・イグダーラ(32)が速攻からレイアップに持ち込んだが、100メートル換算で瞬間最速10秒9のスプリント力を誇るジェームズが後方からブロックして28回目の逆転を阻止した。
そして残り53秒、この日26得点のカイリー・アービング(24)が、ステファン・カリー(28)の目の前で起死回生の3点シュートを成功。92―89となった残り10・6秒には反則を受けた際に右手を痛めたジェームズがフリースローの2本目を決めて“とどめの1点”を追加した。
ジェームズは「歴史の一部になれたことがうれしい。信じられない。言葉が出てこない」と優勝が決まった瞬間にはコートにひれ伏して号泣。手にしたMVPトロフィーについては「これはクリーブランドのものだ」と語り、遠く離れた地元で応援を送り続けたファンに感謝の意を示した。
今季は東地区全体首位に立っていながら、1月22日にデビッド・ブラット前監督(57)を解雇。ティロン・ルー・アシスタントコーチ(39)が内部昇格で指揮官となるなどチームは揺れ動いた。しかし昨季のプレーオフとファイナルでは故障で戦列を離れたケビン・ラブ(27)とアービングが万全の状態で今ファイナルに参戦。ジェームズの孤軍奮闘はチームの中核であり続けたが、リズムが悪くなった時には“サポーティング・キャスト”たちが主役を支え続けた。
監督歴5カ月で頂点に立ったルー監督は「みんなレブロンがゲームを支配する姿を見たことだろう。でも彼の本当の凄さはハートなんだ」と最後まで屈することなく戦い続けた希代のスーパースターの目に見えぬ底力を絶賛。プレーオフで挙げたチーム通算100勝目は、クリーブランドにとって忘れがたい財産となった。
一方、史上7チーム目の連覇を逃したウォリアーズは第4Qの残り4分39秒から無得点に終わるというまさかのエンディング。ドレイモンド・グリーン(26)が6本の3点シュートなどで32得点15リバウンド9アシスト、ステファン・カリー(28)は17得点、クレイ・トンプソン(26)も14得点を稼いだものの、2万人の地元ファンを落胆させる結果に終わった。
「チームを助けることができなかった。しばらくこのショックは引きずるかもしれない」とカリーががっくり。就任2シーズン目で初めて3連敗を喫したスティーブ・カー監督(50)は「第5戦がターニング・ポイントになった」と肩を落としながらシリーズを振り返った。
第5戦ではグリーンが出場停止処分で欠場。フレイグラント(過度の反則)の合計ポイントが4となって規定(3)を超えたために処分を科せられたのだが、勝てば優勝だったホームでの第5戦でウォリアーズは97―112で完敗。ここから流れが一気に変わってしまった。
今季は95~96年にブルズが樹立したシーズン最多勝利(72)を上回る73勝(9敗)をマークし、ホーム通算54連勝も新記録。開幕からは歴代2位の24連勝を飾っていた。カリーは402本もの3点シュートを成功し、昨季に自身が記録した3点シュートの最多成功記録(286本)を大幅に更新。2季連続でMVPに選出された。カー監督も最優秀監督賞を受賞。まさに栄冠満載の“記録的なシーズン”となっていたが、優勝だけは王手をかけながら逃げていった。センターのアンドリュー・ボーガット(31)が第5戦で左膝を痛めて第6戦と第7戦を欠場。キャバリアーズには徹底してインサイドを攻められ、第7戦でのペイント内(制限区域)の得点では28―48と大きく水をあけられてしまった。連覇確実とまで言われて迎えた今ポストシーズン。記録は手にしたが、最後は弱点をつかれてキャバリアーズの前に屈する形となった。
<ファイナル主なデータ>
▼ウォリアーズとキャバリアーズはこの2年間で計13回対戦。これはこの期間としては、プレーオフでの史上最多試合数となった▼ウォリアーズの3連敗は13年11月20日から23日にかけてグリズリーズ→レイカーズ→トレイルブレイザーズと敗れて以来、2年7カ月ぶり▼ジェームズは今ファイナル7戦で平均29・7得点11・3リバウンド8・9アシスト。昨季のファイナルでは35・8得点13・3リバウンド8・8アシストだった。
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