錦織、力尽く…バブリンカに逆転負け マリー戦4時間死闘響いた
2016年09月11日 05:30
テニス
男子シングルス準決勝で世界ランキング7位の第6シード、錦織圭(26=日清食品)は、同3位で第3シードのスタン・バブリンカ(31=スイス)に6―4、5―7、4―6、2―6で逆転負けを喫した。第1セットを奪ったものの、蒸し暑いコンディションに加え、約4時間に及んだ準々決勝の疲れを引きずってペースダウン。準優勝した14年以来2年ぶり2度目の決勝進出を逃した。残り1試合では前回王者の世界1位ノバク・ジョコビッチ(29=セルビア)が決勝進出を決めた。
コートとシューズのこすれるキュキュッ!といういつもの音が消えていた。ストローク位置を細かく調整する軽快なステップ音の代わりに、錦織は大きく重い足取りで何度もネットにダッシュしていた。
「疲れて思考能力が低下していた。徐々に動けなくなって、長いポイントで食らいついていくプレーが難しくなった」
ストロークでは分があるとみられた錦織が、ラリー戦で全く勝てなかった。ベースラインでのポイント獲得率は83%、51%、39%、19%とセットを追うごとに低下。すがった活路はネットプレーしかなかった。19本ものサーブ&ボレーを繰り出し、ネットプレーは相手の3倍の42本を数えた。
「スライスを多用する選手なので前にいかないと」と言いつつ、「長いラリーはしたくない気持ちもあった」と消極的選択であったことも認めた。試合が始まったのは午後6時半。しかし気温30度を超えた日中の熱気と高い湿度が重く垂れ込め、とりもちのように錦織の足をコートに張り付かせた。
準々決勝のA・マリー戦のダメージも大きかった。優勝候補筆頭を破った4時間フルセットマッチの代償。「ラリーが長くなると、湿気と足の重さとで疲れがきてしまう。むち打ってやろうとしたが、どうしても足が動かなかった」。第1セットこそ隙のないテニスで奪ったものの、思考も動きも徐々に鈍った。
決勝進出はならなかった。それでもこの夏に得たものは大きかった。ナダルを破ったリオデジャネイロ五輪銅メダル。そしてA・マリーを破った全米4強。「足りないものは?」と聞かれた錦織は「うーん、うーん」と首をひねり「7試合を勝ち上がるには多少のドロー運も必要」と運を挙げることしかできなかった。
テニスそのものは頂点に立てるレベルに達しつつある。「凄く自信になった大会。トップの選手に勝ってきた事実を忘れないように残りのシーズンを戦いたい」。疲労感の中にも自信と充実感をにじませ、錦織の今年の4大大会が幕を閉じた。
▽試合経過
【第1セット】錦織は第1サーブの確率が71%と絶好調。バブリンカ得意のバックハンドに対し、緩急をつけて高低を打ち分けて攻め、9本の凡ミスを誘発した。
【第2セット】先行したものの追いつかれ、第7ゲームは4本のブレークポイントを逃した。ネットプレーが徐々に増える。バブリンカが多用し始めたキックサーブへの対応にも苦戦。
【第3セット】ラリーで勝てなくなり、サーブ&ボレーが8回に増えるなどサービスキープに苦しむ。第7ゲームでブレークバックした後に雨のために中断し、屋根が閉められる。
【第4セット】第2ゲームはラリーを制圧されラブゲームでブレークされる。第5ゲームのブレークバックで見せ場はつくったが、反撃もそこまで。このセットの決定打は1本にとどまる。
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