東京五輪、巨費をかけずにできること…ほら、みんなで声を出そう
2016年10月04日 13:13
五輪
ほらみんなで手を叩こう。
前回の東京五輪が行われた1964年に坂本九が歌った大ヒット曲には、スポーツ観戦の要諦がある。
素晴らしいプレーには称賛と感謝の気持ちを込めて手を叩き、残念なプレーがあれば、惜しかった、次は頑張れと激励の意味を込める。観客の拍手は試合をさまざまな色に染めていく。
ただし、2020年の東京五輪を迎える上では、それだけでは十分ではないかもしれない。
リオ五輪で非常に印象深かったのはブラジル人の声の圧力の凄さだった。客席が五分の入りでも満員かと錯覚させるほどの迫力。それが感情の増幅装置となり、選手を盛りたて、試合を盛り上げた。
日本に戻ってから何度か“声”が気になった。男子テニス国別対抗戦デ杯の日本―ウクライナ戦では、大阪・靱テニスセンターが3日間とも満員の観客で埋まった。ところが、応援の迫力という点では、10人いるかいないかのウクライナサポーターの声量に日本は圧倒されてしまった。日本側で声を出すのは太鼓を叩く先導役のみ。他の観客はそれに合わせてパチパチと手を叩くばかりだった。日本の中でも、どちらかといえばやかまくしく、自己表現に長けた大阪のスポーツファン(大阪の方々、もし違ってたらすみません)でもそんな案配だったのである。
Bリーグの開幕戦、A東京をあと一歩まで追いつめた沖縄の奮闘を後押ししたのは、熱狂的で知られるブースターの「GO!GO!キングス!」コールの大合唱。全面LEDのコート以上に試合を盛り上げる重要な役割を担っていた。
そんなことを考えていたら、リオ・パラリンピックを総括する共同通信の記事に、国際パラリンピック委員会のクレイグ・スペインス広報部長のコメントが載っていた。「日本のスポーツでは観衆はとてもリラックスして静かに観戦する。必要なのは大声で応援することだ」
4年後、普段は見慣れない競技を観戦する人も多くなるだろう。世界中から集まるアスリートを盛りたてるために、日本流のおもてなしが全て最良とは限らない。何より何百億円かけて立派な会場を新設せずとも、大声での応援はお金をかけずに大会を立派なものにしてくれる。
幸せなら手を叩こう。
幸せなら態度で示そうよ。
ほら、みんなで声を出そう。 (雨宮 圭吾)
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