父はラグビー界の“ビッグネーム” 名手の息子が花園にやってくる
2016年12月16日 15:12
ラグビー
小学4年から競技を始めた。野球をやめて違うスポーツを考えている時に、母・磨利子さん(54)からラグビーを勧められた。すぐに「楽しくてはまった」。同時に日本代表10キャップの父の偉大さを知ることになる。
83年のウエールズ戦。日本代表は敵地にもかかわらず強豪に24−29と迫った。メンバーは全員日本人。メードインジャパンだけで世界と戦った時代だった。当時の話を直接聞いたのは、楕円球を握り始めた小学校の頃と、中学校になってからの2回だけ。耳にする機会が数少なかった“武勇伝”から、いい選手に不可欠な要素を学び取った。
「話を聞いて強豪に思い切ってプレーをしたという印象があった。だから中学から思い切ってプレーをすることを心がけている。うまくしようとしすぎて迷い、それまで捕まることがあった」
スペースを見つければ迷わず仕掛ける。カウンターも武器の一つだ。
▼父からのメッセージ・河瀬泰治さん 私からラグビーをやれとか言ったことはない。自分からやろうと思わないとできないスポーツという考えがあったから。ここまで来られたのは子どもの頃からいい指導者に恵まれたのも大きい。(花園は毎年見ているが)普通には見られないだろうね。緊張するだろうけれど、存分にプレーしてほしい。
◆河瀬 諒介(かわせ・りょうすけ) 1999年(平11)7月21日、大阪市生まれ。東桃谷小2年から野球。4年から「阿倍野ラグビースクール」で競技を始める。勝山中ではラグビー部でCTB、SO。東海大仰星では主にFB。1メートル83、80キロ。
常翔学園(大阪第2)のプロップ藤涼雅(3年)の夢は父と同じ道を歩むことだ。「メイジ(明大)に進み、コウベ(神戸製鋼)に入りたい。現役が終われば、父がしているチームマネジャーをしたい」。小学1年で競技を始めようと決めたのが自分なら、高校も自らの意思で父の背中を追った。「憧れた」からだ。
父・高之さん(45=神戸製鋼)は大工大高OB(常翔学園の旧校名)。2年生だった88年度に全国優勝をした。茗渓学園(茨城)と両校優勝の時だ。高校日本代表に選ばれ、明大では3度の全国大学選手権優勝に貢献した名フッカー。V7後の神鋼にも彩りを添えた。
息子は映像でしかプレーを知らない。その分、何度か見てきた。「高校時代のビデオも見た。スクラムが強く、こだわりを感じた」。スクラム重視は今も変わらぬチームの伝統。ラグビーについて語ることが希な父からは「高校では1・5メートルしか押せないルールだが、将来を見据えて磨け」と言われている。「花園で強いスクラムを組みたい」。親子2代のこだわりを大舞台で披露する。
全国制覇(大工大高)した父の背中を追うだけでなく、桜のジャージーにも強い憧れを持つ。「将来は日本を代表選手になりたい」。若手を育成・発掘する日本協会のプログラム「セブンズアカデミー」にも中学3年から呼ばれている。粗削りなダイヤの原石だ。「7人制も15人制も両方できる選手になりたい」。昨年の優勝はメンバー外だった。初登場の花園で壮大な夢への第一歩を記す。 (倉世古 洋平)
◆藤 涼雅(ふじ・りょうが)1998年(平10)7月21日、神戸市生まれ。高槻市第九中時代に「芦屋ラグビースクール」で全国V。中学まで父と同じフッカーだったが、高校からプロップ。1メートル73、109キロ。ベンチプレス130キロ。
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