スポーツ政治には攻めが必要…違和感覚えた柔道ルール改正での“情報過疎”
2016年12月27日 10:00
スポーツ
12月、柔道のルール変更が話題となった。男子の試合時間が女子と同じ4分となったことや、正規の試合時間内では指導3回までいかない限り指導差による決着はないこと。技ありは何度奪っても一本ではなくなったこと。実はかなりドラスティックで、国際柔道連盟(IJF)が競技の価値を守るために“一本偏重”に舵を切ったことは明確だ。施行を前に賛否両論は巻き起こっているが、われわれは畳の上で起きることを冷静に見守っていくしかない。
ただし、日本国内の情報過疎ぶりには違和感があった。
IJFが新ルールの暫定的導入を世界に向け発表したのは今月9日。直後、国内の指導者たちに反応を聞くと、これが非常に心許ない。正確な変更点を把握していないどころか、間違った情報で不安を募らせている関係者すらいた。この指導者がもし選手たちに中途半端な情報を伝えたら、と考えるとゾッとする部分もある。
12月といえば、柔道の年間サーキットを締めくくる「グランドスラム(GS)東京」が行われ、IJFの主要人物が来日しているタイミング。IJF理事を務める山下泰裕・全日本柔道連盟副会長は「(ルール変更は)正式な手続きを経て発表されるものだと思っていた」とし、自身が把握していたルール改正点を現場サイドにはまだ伝えていなかったことを明らかにした。GS東京でどういう話し合いがあったのか?少なくとも、国際的了解と日本の認識にはズレがあった、と指摘されても仕方がないだろう。
現場の指導者たちの姿勢にも疑問符がつく。五輪終了後は4年に1度、大きなルール改正が行われる可能性がある時期。山下氏は選手強化の現場に「ルール変更が行われるだろう」という情報は伝えていたという。ならば、GS東京という舞台は各国の指導者と意見交換し、新たな情報を得るチャンス。情報に対しては「待ち」ではなく、積極的な「攻め」の姿勢が必要だ。
過去には日本レスリング協会の福田富昭会長が、女子の五輪種目入りの方向性を感じ取り、早期に強化を開始。現在の“王国”の基盤を築いた例もある。情報戦で後手を踏むようでは、スポーツ政治力の向上も意味をなさなくなる。(首藤 昌史)
おすすめテーマ
2016年12月27日のニュース
特集
スポーツのランキング
-
スポーツ政治には攻めが必要…違和感覚えた柔道ルール改正での“情報過疎”
-
カトパン突撃!リオ五輪リレー銀の桐生はお祭り男 勝利の女神はさんま!?
-
宇野 平昌五輪3枠確保誓う!重圧も「団体戦に近いと思っている」
-
宇野 新技4回転ループ失敗も 3つ目の4回転習得に意欲
-
宮原 女子けん引「みんなでいい演技をして楽しい試合に」
-
真央復調を連盟後押し 若手の手本としても活躍期待
-
奈紗 マレーシアでJK6人合宿!コーチ帯同せず英会話も勉強
-
勇太 変わらずランク33位でマスターズ確定 松山は6位
-
佐藤改め貴景勝!貴乃花親方が育てた初の日本人幕内力士誕生
-
正代“飛び級”新関脇 17場所目は2位のスピード記録
-
千代皇 悲願の新入幕 鹿児島最南端与論島出身
-
玉鷲夢かなった!所要77場所で関脇に昇進「興奮してくる」
-
鶴竜 初の連覇へ自信「流れをつかんでいければ結果はついてくる」
-
年寄名跡証書の預かり証なし…春日山親方の契約は保留に
-
茜 リオ女子バド8強報告会で抱負「コンスタントに上位に」
-
国際パラ委員会主催アルペンW杯 来年白馬で開催
-
中山が引退 競技継続、経済的にも体的にも厳しく…
-
3冠狙う桜花学園、岐阜女、大阪薫英女学院が4強入り
-
全国高校ラグビー27日熱戦開幕!決勝は来年1月7日