稀勢の里「いつも横綱は孤独」亡き師匠の言葉を胸に
2017年01月24日 09:00
相撲
稀勢の里に15歳の頃に戻れたら、どの部屋を選ぶかと聞いたことがある。その答えは「やっぱり鳴戸部屋かな」。
田子ノ浦部屋の前身である鳴戸部屋に入門したのは茨城・長山中卒業後。4番でエースを務めていた野球で注目されていた萩原少年は、有名高校から勧誘を受けたが、それを蹴って角界入りした。「高校で勉強などに時間を取られて3年間を無駄にしたくなかった。やるからには相撲一本でいこうと」。だから「稽古が一番厳しい」と言われていた鳴戸部屋に決め、インターネットで調べて当時千葉県松戸市にあった部屋を訪問。入門に至った。
一番厳しいというのは本当だった。「稽古はウソをつかない。努力はウソをつかない」。元鳴戸親方からは、事あるごとにそう言われた。中学卒業後に入門してから、来る日も来る日も激しい稽古に明け暮れた。1日100番以上も取ることもあった。当時は現役だった西岩親方(元関脇・若の里)は「涙を流しながら稽古をしていた」と回想する。若い頃はまわしを取ることを許されず、ただひたすら前に出る稽古。稀勢の里も「そのときの貯金がある」。土俵に染みこんだ汗と涙の分だけ強くなった。先代師匠の言葉通りだった。
土俵上での稽古だけでなくウエートトレーニングなどで鍛え上げたことで「ポパイ」とも呼ばれていた隆の里。最近はその先代師匠に体つきが似てきたと言われることもある。だが「似てないですよ。筋肉なんて3分の1くらいしかない」と笑う。若かりし頃に見た先代師匠は、神様である横綱まで上り詰めた偉大な存在。当時を思い起こしても、自らと比べることは難しいのだろう。だが、遠回りはしたものの、ついに同じ地位に肩を並べることになった。 (特別取材版)
おすすめテーマ
スポーツの2017年01月24日のニュース
特集
スポーツのランキング
-
稀勢の里、綱の自覚「責任ある地位。負けたら終わり」先代師匠目標に
-
横審わずか10分「文句なし」全会一致 「安定した実力」評価
-
【稀勢と一問一答】努力実り「腐らず我慢してきて本当によかった」
-
父・貞彦さん「これまで以上に真剣に」次は「もちろん全勝優勝」
-
稀勢の里V報告会 江戸川区で開催へ 小岩駅近くで調整中
-
遼 50位終戦も1W復調 果敢に池ポチャ「ナイストライだった」
-
大也、英語もOK? テキサスで4冠達成 インタビューは…
-
葛西 W杯23位 目標1桁順位遠く「今の状況ではこんなもの」
-
ボルダリングW杯年間王者・楢崎 高さ競う「リード」にも意欲
-
8強入りのナダル「ガールフレンドは推薦出場」インタビューに観客爆笑
-
ラオニッチ8強 世界トップ2不在、最大チャンスの初Vへ吠えた!
-
チェン 世界初の4回転ジャンプ5度成功で全米選手権初V
-
20年東京へ 女子日本代表監督に元NBA選手・ホーバス氏就任