24年夏季五輪は消滅の危機 次の東京が最後の五輪になる?
2017年02月27日 09:00
五輪
近年の五輪はひたすら肥大化への道を突き進み、経費も雪だるま式に膨れ上がっている。東京五輪の開催経費は最大1兆8000億円と見積もられている。誰がそれだけの経費を負担するのか、いまだに東京都と組織委員会、政府の結論は出ていない。世界有数の大都市である東京でさえこうなのだから、ブダペストが断念したのは賢明な判断だったと言っていい。
パリやロサンゼルスなら財政的には開催可能だろうが、両国は財政とは別の問題をもう一つ抱えている。移民とテロへの懸念だ。トランプ大統領は就任前にIOCのバッハ会長と話した際、ロスへの招致を支援する意向を示したが、就任後の入国制限などを見る限り、不特定多数の人が大挙して入国することになる五輪に積極的とはとても思えない。フランスも5月の大統領選挙の結果次第では移民政策の変更に伴い、招致反対の声が一気に強まることも予想される。まさかとは思うが、ブダペストに続いてパリとロスも土壇場で撤退し、24年大会は消滅、東京が歴史上最後の夏季五輪になる可能性も決してゼロではないのだ。
巨額の開催経費とテロへの懸念から、今後も五輪離れは進む一方だろう。五輪が生き残るために必要なのは規模の拡大ではなく、縮小だ。施設は最大限既存のものを利用し、競技数も種目数も今よりもはるかに減らす。それ以外にない。五輪が商業化、つまり肥大化へと舵を切るきっかけになったのは84年のロサンゼルス五輪だった。国の援助を受けずに初めて民間の資金だけで実施された同五輪は、当時の組織委員会の創意工夫で黒字となった。それに味をしめたIOCは以後、民間資金を導入し、際限なく規模の拡大を推し進めた。その結果がこれだ。24年大会の最終候補に再びロスが残っているのも何かの因縁ではないか。大きな五輪から小さな五輪へ。一日も早いIOCの決断を望みたい。(編集委員)
◆藤山 健二(ふじやま・けんじ)1960年、埼玉県生まれ。早大卒。スポーツ記者歴34年。五輪取材は夏冬合わせて7度、世界陸上やゴルフのマスターズ、全英オープンなど、ほとんどの競技を網羅。ミステリー大好きで、趣味が高じて「富士山の身代金」(95年刊)など自分で執筆も。
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