ぜひ浅田真央さんを東京五輪の聖火最終点火者に 前例より新しい発想を

2017年04月27日 10:00

五輪

ぜひ浅田真央さんを東京五輪の聖火最終点火者に 前例より新しい発想を
浅田真央さん Photo By スポニチ
 【藤山健二の独立独歩】NHKの連続テレビ小説「ひよっこ」で、64年東京五輪の聖火リレーが再現されて話題になっている。当時の聖火は8月21日にギリシャで採火され、アジア各国を経て9月7日に沖縄に到着。4ルートに分かれて全都道府県を回った。各ルートの火は10月9日に東京に集結し、翌10日の開会式で当時早大一年生だった坂井義則氏が聖火台に点火した。
 開会式の最終点火者には開催国の著名メダリストが選ばれるのが通例だ。64年の東京大会でも28年アムステルダム五輪の陸上男子三段跳びで日本人として初めて金メダルを獲得した織田幹雄に白羽の矢が立ったが、当の本人が「(59歳の)私が国立競技場の階段を駆け上がるのは無理。元気な若者に任せた方がいい」と固辞。組織委員会の中からも「五輪は若者の大会。年配者より若者に任せるべきだ」という声が上がり、当初はスポーツ界の功労者や政財界人らが務めるはずだった各ルートの聖火ランナーも一般の若者中心に変更された。広島市に原爆が投下された45年8月6日に同じ広島県の三次町(現三次市)で生まれた坂井氏は当時19歳。颯爽と国立競技場の階段を駆け上がる若者の姿は、まさに戦災から復興した日本の象徴だった。

 半世紀以上前の五輪で「過去の功労者より未来のある若者に」という発想があったというのは素晴らしい。20年の東京五輪もそうあってほしいし、そうでなくてはいけない。今回の最終点火者はまだ検討すらされていない段階だが「若者」がキーワードになることは間違いない。国際オリンピック委員会(IOC)も「若者へのアピール」に力を入れている。同時にIOCは「男女平等」も強調している。その意味からすれば東京での点火者は若者で、できれば女性が適任ということになる。

 そこから先は今はまだ空想の世界だが、この条件でまず思い浮かぶのは先頃引退したばかりの浅田真央さんだろう。バンクーバー五輪の銀メダリストで、ソチ五輪では不屈の闘志で入賞を果たし、世界中を感動させた。何より老若男女を問わない人気者だ。夏季五輪には夏の競技の選手をという暗黙の了解があるのは事実だが、古い殻を打ち破るという意味でもぜひ実現させてほしいと思う。

 さらに言えば、最終点火者は一人である必要はない。「男女平等」ならもう一人、夏の競技の男子選手を加えてもいいし、震災からの復興五輪をアピールするなら、被災地の子どもたちに参加してもらってもいいと思う。過去の五輪では12年のロンドン大会で、次代を担う7人の若手選手が最終点火者になった例もある。スポーツ界はもちろん、様々な分野の若者が心を一つにして聖火を点火する。そんな東京五輪はいかがだろうか。 (編集委員)

 ◆藤山 健二(ふじやま・けんじ)1960年、埼玉県生まれ。早大卒。スポーツ記者歴34年。五輪取材は夏冬合わせて7度、世界陸上やゴルフのマスターズ、全英オープンなど、ほとんどの競技を網羅。ミステリー大好きで、趣味が高じて「富士山の身代金」(95年刊)など自分で執筆も。

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