同姓週間?
2017年04月21日 09:30
ゴルフ
今思えば「ガルシア・ウイーク」だったのかもしれない。その日からさかのぼること5日。男子ゴルフのマスターズ・トーナメントを初めて制したのがセルヒオ・ガルシア(37=スペイン)だった。マスターズばかりではなく、メジャーに関しても出場74試合目にしての初栄冠だったとか。そりゃ喜びも格別なはずだ。
1999年にプロ転向し、初めて挑んだメジャーがカーヌスティ(スコットランド)での全英オープン。アマ時代の輝かしい実績に加え、当時まだ19歳という若さも手伝ってか、ラウンドはギャラリーとメディアで黒山の人だかりだった。全世界のゴルフファンが注目していたその初日、「神の子」は89の大叩きを演じてしまう。パー71のコースだから18オーバーの屈辱だ。
顔面蒼白(そうはく)のガルシアはスコア提出を終えると報道陣に一切応じることなく会場を去った。われわれ取材陣にとって、できれば二言三言でも構わないから、なんらかのコメントがほしい。その一方で彼の気持ちは痛いほど分かる。プロになったばかりだし、加えて未成年だし。複雑な心境でプレスルームに戻り、記事を執筆していたところ…。
2時間ほど経過した頃だろうか。突然、1枚のプレスリリースがジャーナリスト全員に次々と配布された。A4ほどの用紙にびっしりと英文がつづられている。そのすべてがガルシアのコメントだった。正確に覚えてはないけど「ホールアウト後はあまりに混乱していしまい、メディアの皆さんと落ち着いて話す心境ではありませんでした」といった書き出しだったと思う。辞書を引き引き訳していくうちに、彼の実直な心境が手にとるように理解できた。同時に取材陣に対する気遣いも感じとれた。
今で言うなら「神対応」、いやエル・ニーニョだから「神の子対応」か。文書でのコメントなので「紙対応」かも。ガルシアの名を見聞きするたびに、あの丁寧なプレスリリースを思い出す。
おそらく帰国後に処分したのだろう。引き出しやロッカーをくまなく探しても例のリリースは出てこなかった。もし捨てずに持っていれば、今頃プレミアでも付いたかなあ。 (専門委員)
◆我満 晴朗(がまん・はるお)1962年、東京都生まれ。ジョン・ボンジョビと同い年。64年東京五輪は全く記憶にない。スポニチでは運動部などで夏冬の五輪競技を中心に広く浅く取材し、現在は文化社会部でレジャー面などを担当。たまに将棋の王将戦にも出没し「何の専門ですか?」と尋ねられて答えに窮する。愛車はジオス・コンパクトプロとピナレロ・クアトロ。
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