野口 残り1秒でつかんだ2位「ホントに最高」第一人者の意地

2017年05月08日 05:30

スポーツクライミング

野口 残り1秒でつかんだ2位「ホントに最高」第一人者の意地
第2課題をクリアし、ガッツポーズする野口 Photo By スポニチ
 【ボルダリング・ワールドカップ八王子大会最終日 ( 2017年5月7日    エスフォルタアリーナ八王子 )】 女子は過去4度、W杯年間女王に輝いた野口啓代(27=茨城県連盟)が決勝で4つの課題を全て完登。トライ数の差で2位に終わったが、第一人者の意地を見せた。野中生萌(19=東京都連盟)が3位に入った。男子は昨年の世界選手権王者・楢崎智亜(20=栃木県連盟)が2位、先週の南京大会を制した渡部桂太(23=三重県連盟)が3位だった。

 タイマーが進んでも、焦りはない。競技前のコースチェックで攻略の糸口が見いだせなかった3課題目。失敗を重ね、制限時間の4分まで、残り20秒。野口がまた登り始めた。「20秒で完登できるか分からなかったけど、1手目だけでいいから取りたいと思った。そこからは覚えていない」。ゴールのホールド(突起物)をつかんだ時、残りは1秒だった。「ホントに最高。クライミングをやっていて良かった」と笑みを浮かべた。

 決勝進出6選手中、全4課題をクリアできたのは優勝したガルンブレトと野口の2人だけ。トライ数の差で2位に終わり、「優勝を狙っていたので、凄く悔しい。大満足の2位とは言えない」と振り返ったが、内容には胸を張る。「大満足のクライミングだった」。難易度の高かった2課題は、最後のホールドに飛び付くのではなく、上半身を持ち上げてから腕を伸ばした。最後の1手に、27歳の経験と技術が凝縮されていた。

 20年東京五輪でスポーツクライミングの実施が決定して以降、初めて国内で開催されたW杯。この日の前売りチケットは1600枚が完売し、無料入場の小学生、招待された八王子市の中学生らを含め2340人が声援を送った。「たくさんの方に来てもらって、日本語で応援してもらったり、名前で呼んでもらった。みんなの力を借りてのパフォーマンスだった」と充実感に浸った。

 今季のW杯は初戦で予選落ちだったが、第2戦で3位に入り、今大会でも結果を残した。W杯は残り3試合で、次戦は米国で6月10、11日に開催。約1カ月、間隔が空くため「外の岩場に行ってクライミングを楽しんで、リフレッシュして大会に戻ってきたい」とつかの間のオフを心待ちにしている。5度目のW杯年間女王の先にはもちろん、20年東京五輪がある。「もちろん、優勝を目指している」。3年後のTOKYOまで、27歳は進化を止めない。

 ▽スポーツクライミング ボルダリングは高さ約3〜5メートルの壁に付いたホールド(突起物)を手掛かり、足掛かりにして課題(コース)を登る。複数の課題に挑んで完登した数を競い、同数の場合は完登に要したトライ数の少ない選手が上位。それでも同じ場合はボーナス獲得数、ボーナス獲得に要したトライ数で順位が決まる。一般的に予選、準決勝、決勝の3ラウンドで行われ、6人で争う決勝は4つの課題を各4分の制限時間で実施。20年東京五輪は男女各20人が出場し、ボルダリング、登った高さを競うリード、登る速さを競うスピードを1人で行う複合で争う。

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