なぜパラリンピックの機運は高まらないのか ぜひ一度、会場で観戦を
2017年06月01日 09:00
五輪
彼女だけではない。実際、パラリンピックの選手を取材すると彼ら彼女らのポジティブな思考にいつも驚かされる。リオ大会で日本選手団主将を務めた車いすバスケットボールの藤本怜央(33)は小3の時に交通事故で右足の膝から下を失った。それでも「足が使えないなら手を使えばいい」と車いすバスケを始め、今ではドイツのブンデスリーガで活躍するまでになった。「一瞬の不幸から逆にたくさんの幸せをつかんだ」という言葉はストレートにこちらの胸に響いた。ゴールボールの安達阿記子(33)は黄斑変性症のために19歳で両目の視力をほとんど失った。そのため大好きだったピアノをやめてスポーツを始めた。だが、今でも「目が見えないことを言い訳にしてピアノをやめた自分が情けない」と振り返る。心の強さにはただ脱帽するしかなかった。
そんな選手たちの願いは「満員の観客の中でプレーする」ことだ。だが、残念ながらパラリンピックの会場はどこも空席が目立つ。東京大会までもうあと3年しかないのに、パラリンピックの機運が一向に高まらないのは我々メディアにも責任がある。今やテレビも新聞もスポンサーや広告がなければ経営が成り立たないのが実情だ。だが、パラリンピックをもっと普及させるためには東京都、組織委員会はもちろん、政府、自治体、そして我々メディアがもっと損得勘定抜きで積極的に取り組む必要がある。最近は毎週どこかでパラリンピックの試合やイベントが開催されている。少しでも興味があれば、ぜひ一度、会場まで足を運んでいただきたい。障がいを感じさせずに全力でプレーする選手たちの姿から得るものは、きっとたくさんあるはずだ。 (編集委員)
◆藤山 健二(ふじやま・けんじ)1960年、埼玉県生まれ。早大卒。スポーツ記者歴34年。五輪取材は夏冬合わせて7度、世界陸上やゴルフのマスターズ、全英オープンなど、ほとんどの競技を網羅。ミステリー大好きで、趣味が高じて「富士山の身代金」(95年刊)など自分で執筆も。
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