24年、28年夏季五輪の同時決定は恥ずべきことではないのか?
2017年07月19日 10:30
五輪
五輪が商業化に舵を切った84年のロサンゼルス大会以後、参加人数もスポンサーも放映権料も際限なく増え続け、このままではいずれ開催費用をまかなえる都市がなくなってしまうのではないかという指摘は、良識ある多くの関係者が共有してきた。IOCもただ手をこまねいていたわけではなく、14年12月には「五輪アジェンダ2020」を採択。既存施設の積極活用による開催費抑制などを打ち出したが、その後も立候補する都市は減る一方で、IOC内にもこれまでにない危機感が強まっていた。
開催地は大会7年前に決めるのが原則で、2大会まとめて選出するのは極めて異例だ。五輪の安定開催と言えば聞こえはいいが、要はバッハ会長以下の現幹部たちが11年先までの保証を得て一安心と言ったところだろう。五輪の肥大化という根本的な問題を解決しない限り、11年後までは何とかなっても、15年後にはまた同じことが繰り返されるに違いない。
これまで何度も指摘してきたが、五輪を正常化するためには規模を縮小するしかない。にもかかわらず、3年後の東京では新たな種目が次々と追加されている。IOCは参加人数の総数は前回のリオデジャネイロ大会より減ると胸を張るが、種目が増えて総人数が減るということは、それだけ薄っぺらい試合が増えるということにほかならない。復活した野球の出場はわずか6チーム。IOCは3チームずつ2組に分けて予選リーグを行うことで組織委と合意しているが、それではあまりにも試合数が少なく、WBCの熱気とは比べるべくもない。世界野球ソフトボール連盟が「6チーム総当たりで」と申し入れたのも当然だろう。
2大会先の28年大会まで同時に決めるのは素晴らしいことではなく、五輪の歴史にとって恥ずかしいことではないのか。本気で規模の縮小化に取り組まない限り、私にはそう思えてならない。 (編集委員)
◆藤山 健二(ふじやま・けんじ)1960年、埼玉県生まれ。早大卒。スポーツ記者歴34年。五輪取材は夏冬合わせて7度、世界陸上やゴルフのマスターズ、全英オープンなど、ほとんどの競技を網羅。ミステリー大好きで、趣味が高じて「富士山の身代金」(95年刊)など自分で執筆も。
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