カトパン突撃!20年「金」本命視19歳・阿部一二三 勝負の赤パン、豪快一本道
2017年07月25日 09:10
柔道
「8月に世界選手権(28日開幕、ブダペスト)があるので、絞っている段階ですね」
――触ってみてもいいですか?
「腹筋ですか?ちょっと待ってください。力入れますから(笑い)」
――うわ!凄い!硬い!この筋肉はウエートトレーニングの成果ですか。
「ウエートはあまりしないですね」
――えっ!?そうなんですか。
「ウエートで筋肉をつけてもあまり意味ないかなと。柔道力というのは柔道の練習でしかつかないと僕は思っています」
――小さい頃からお父さん直伝のトレーニングをやっていたそうですね。
「チューブでインナーマッスルを鍛えたり、3、4キロの重たいボールを使って全身運動をしたり」
――今でこそ一般的な体幹トレーニングを、ずっと前から取り入れていたんですね。
「柔道の練習がない日に公園でやったりしていたんで、何やってるんやろ、みたいな感じで見られてたと思います(笑い)」
――でも、それが今につながっている。
「そうですね、自分の柔道の土台になっていると思います」
――だから、あの豪快な背負い投げができるんですね。
「ほかの選手が入れないというか、入らない角度から技をかけられるようになったのは、あのトレーニングのおかげだと思います」
――柔道を始めたのは6歳。きっかけは?
「テレビで何かの大会を見て、凄い面白そうだなと思って。両親にやりたい!って言いました」
――でも、最初は泣いてばかりいたと。
「大きい、高学年の人とかいたんで圧倒されたんだと思います」
――そんな一二三少年が、どうして強くなっていったんですか?
「試合で同じ年の女の子に負けて。悔しくて、もう絶対に負けたくないと、お父さんとトレーニングを始めました」
――練習がつらくて柔道を辞めたくなったことはないですか。
「多い時は一日7時間とかやっていましたが、辞めたいとは思わなかったです。練習に行きたくないとは思いましたけど」
――練習を休んでしまったことは?
「休みたくても、両親に引っ張って連れて行かれて(笑い)」
――ここまでくるのにご家族の支えは大きかったですか。
「やはり両親がサポートしてくれたんで今がある。凄くいい環境で練習できていたと思います」
――お母さんは食事面でサポートしてくれた。
「栄養を考えて作ってくれてましたね。だから体調もあまり崩さず、柔道に打ち込めたと思います」
――お母さんの手料理で好きなのは?
「ラタトゥイユっていう野菜の煮込み料理です」
――おしゃれ!
「どうなんですかね(笑い)。僕が帰省する時には絶対に作って待っていてくれます」。
――そのお母さんの勧めで、試合の時は必ず赤いパンツをはくそうですね。
「柔道を始めて、試合に出始めたころからずっとです」
――そんな前からだったんですか。
「はい、お母さんが、試合の時は闘争心が湧くので赤がいいらしいと言って」
――それで赤。
「もう試合の時は赤パンじゃなかったら勝てない、っていうくらい。一番のルーティンになっています」
――3年後の東京五輪は22歳で迎えます。
「年齢も体的な部分も、乗ってる時期かなと思いますね」
――目標はもちろん金メダル。
「圧倒的な力で優勝したいです」
――一本勝ちで。
「やっぱり一本は柔道の醍醐味(だいごみ)。一本を取りに行く柔道は曲げたくないです」
――憧れの選手はいますか?
「野村忠宏さん。五輪でも野村さんのような豪快な柔道をしたいです」
――野村さんは五輪3連覇しました。
「超えたいですね。凄い大きい夢ですが、五輪4連覇というのを目指したい」
――そうすると東京五輪では負けるわけにはいかない。
「まずは東京五輪で優勝しないと始まらない。東京が一番大事かなと思います」
――妹の詩(うた)さんも女子柔道のホープ。東京五輪で一緒にメダルを獲れたら最高ですね。
「妹と一緒に出られたら、今の予定なら同じ日に試合なんです。一緒の日に2人で金メダルを獲れば、周りの人や両親に一番の恩返しになると思う」
――その日も当然、赤パンで?
「もちろんです。いつも通りに」
――ちなみに今日は試合じゃないですけど、何パンですか?
「今日は黄色だったかな?…あっ!違った、カトパンです!(笑い)」。
▼阿部 一二三(あべ・ひふみ)1997年(平9)8月9日、神戸市生まれの19歳。中学2年時の全国大会Vを皮切りに、神港学園高時代はタイトルを総なめ。史上最年少の17歳でグランドスラム東京大会を制した。階級は66キロ級。右組み。得意技は背負い投げ、袖釣り込み腰。身長1メートル68。血液型AB。妹の詩(うた=夙川学院2年)も52キロ級で3月のグランプリ・デュッセルドルフ大会(ドイツ)優勝など活躍。
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