世陸初出場・井上大仁の負けじ魂 大学時代から「アフリカ勢に負けない」
2017年08月04日 11:00
陸上
長崎県諫早市出身。鎮西学院高(長崎)から山梨学院大に進学した。高校時代は全国大会に縁がなかったが、進学後には上田誠仁監督の下で才能が一気に開花した。1年生から箱根駅伝4年連続で出場した。3年時には全日本大学駅伝2区で早大の大迫傑(現ナイキ・オレゴンプロジェクト)と同タイムで区間賞を獲得。世界ハーフ代表にも選ばれた実力の持ち主だ。
大学時代には「原宿ってめっちゃ怖くないですか、あんなに人が多いところは無理です。買い物にいけませんよ」と話すなど普段は純朴そのもの。物腰も柔らかい好青年だが、こと陸上に関しては負けん気の強さは人一倍だった。
井上は常々「アフリカ勢に負けない」といっていた。大学では1学年下に留学生のエノック・オムワンバ(MHPS)という良きライバルと刺激してお互いを高め合った。自己ベストを更新してもさらに上をいくオムワンバの記録を常に意識し、そこを目標に掲げていたという。
意識が大きく変わったのは14年の箱根駅伝。2区でオムワンバが故障して無念の途中棄権という屈辱を味わった。そこからオムワンバに頼りすぎていた部分を反省、主将に就任するやいなや「留学生頼みにならない」を合言葉に上田監督に「優勝できるメニューを組んでください」と直訴した。上田監督も「この代で優勝したいという気概がひしひしと伝わってきた」と井上の信念の強さに驚いていたほどだ。
最終学年の11月の記録会では井上が1万メートルで山梨学院大記録を更新するなど右肩上がりの成長曲線を描いた。その年の箱根駅伝はオムワンバが故障で欠場したが、井上らの頑張りもあって留学生抜きでシード権を確保できるまでに成長した。チームにとっては不幸なアクシデントだったが、逆にその経験が井上を強くしていた。
ロンドンでもアフリカ勢が日本チームの前に立ちふさがると予想されるが「マラソンをやり出してから、アフリカ勢は常に意識する存在。この大会に限らず、彼らがどういう練習をして、どういう気持ちでマラソンに挑んでいるのか考えながら、それ以上のことが出来ているのか問いながらきている。漠然としたものしかないが、そこへ向かう気持ちをつくってきた」と決意を語っていた。
2大会ぶり3度目の出場となる川内は「チームとして3人が入賞できるようなレベルでできれば、誰か1人メダルにかかってくることも十分ある。そういうつもりでチーム3人が入賞するつもりでしっかりやらなければいけない」と気合十分。一方の井上は「代表としての役割を果たすだけ。その意識でやった中で得たものを東京に持っていければと思う」といつも通り淡々と展望を語った。
ロンドンでの経験という“たすき”をいかにして東京へつなげるのか。ベテランの日の丸ラストランは、東京を目指す井上にとってのスタートとなりそうだ。(記者コラム・河西 崇)
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