神鋼アシュリークーパー 世界レベルの“チーム愛”で名門復活を目指す
2017年09月08日 13:10
ラグビー
「クラブチームの遠征だったね。初めての海外だった。私が生まれ育ったところはシドニーはシドニーでも、ビーチよりの街だった。ビーチサイドの家並みと、東京のビル群とは全く印象が違ったので、すごく圧倒された。一番感激したことは、自分たちがすごく歓迎されたこと。丁寧にもてなされたことで、いい時間を過ごすことができた」
―その経験があったから、今回の来日につながった?
「100%そうだね。それ以来、いつか絶対に、日本に来たいと思っていた」
―日本で経験してみたいことは何か。
「日本の文化を学びたい。どんな生活をしているか、ライフスタイルを学びたい。ラグビーをやる上で、他の文化の人々を知ることが大事だと思う。新しい思い出を、ここにいるメンバーとつくりたい」
―神戸製鋼に決めた理由は何か。
「コウベのプレースタイルが好きだった。仕掛けていくのがいいなとおもった、相手に仕掛ける“ブランド”がすごくいいと思った。施設も充実し、経験豊富なコーチングスタッフがいる、日本人のベテラン、若手のバランスもいいと思った。会社を含めて優勝するのにふさわしいチームと聞いた。そういったチーム情報は、アンディー(SHエリス)から聞いた。もともと彼とは友人なので。もちろん、オーストラリアの友人もたくさん日本でプレーしている。そこからも聞いていた」
―日本の印象は。
「プレーが速い、そしてクオリティが高い。違いはコンタクト。よく知られていることだけど、ロータックルが鋭い。あと、マット(CTBギタウ、サントリー、オーストラリア代表103キャップ)と電話で話して、彼も日本のラグビーに感銘を受けているのだけど、ハードトレーニングをするという認識でいる。この2週間の練習というのは、この2年間のキャリアの中で一番練習したと思うぐらい。素晴らしい文化だ」
―フランス(ボルドー)での2年間と比べて?
「彼らはちょっとワインを飲みすぎだね(笑い)。まあ、日本とフランスでは純粋に練習のスタイルが違うだけど。いずれにせよ、自分としては強度が高い練習は好き。選手として成長するにはこれぐらいの強度は必要。こういうプログラムができているのはすごくいいこと」
―神戸製鋼はパナソニックには03年以来、13年間勝っていない。オーストラリア代表のヘッドコーチだったロビー・ディーンズさんが指揮を執っている。
「パナソニックのことは知っているよ。連敗が続いているという状況にチャレンジできるのはすごくいいこと。対戦する当週になれば、より熱意あふれた1週間を過ごせると思う。ロビーはコーチとしてのリスペクトもしている。敵として戦えることを楽しみにしている。(SO)ベリック・バーンズ(オーストラリア代表51キャップ)と当たるのも楽しみだね」
―代表で100キャップ(116キャップ)以上を獲得し、スーパーラグビーでも100試合以上(ブランビーズ、ワラターズで139試合)に出場した。その原動力は何か。
「反発力。チャレンジする必要がある時にどれだけ乗り越えていけるかが大事。反発力だ。その力を長年かけて培えてきたことは誇りに思えることになっている。最後は(技術よりも)熱意、気持ち、ハートをどれだけ燃やせられるかが重要」
―神戸製鋼にそういう人物はいるか。
「フォワードの選手が印象的だ。ショウジ(ロック伊藤)、イタル(No.8谷口)、ヤスイ(フランカー安井)、(ロック)ベッカー。そして、ヤンブーサン(プロップ山下裕)、ラッシーサン(プロップ平島)のリーダーシップもすごい。バックスとしては、それだけいいフォワードの中でプレーができるのが嬉しい」
―ワラタース時代にスーパーラグビーに優勝した。優勝するのに必要な雰囲気とは?
「ハードワークをしたいと思って、毎日ここに来る人間がどれだけいるか。全員が貢献したいという気持ちをどれだけ持てるか。グラウンド外での仕事も重要だ。体のケアを怠っていないか、映像を確認しているのか、しっかり食事をとれているのか、頭の中をクリアしてから寝ているか。優勝するには、、フィールド上のパフォーマンスより大切なことがある。見えないところの小さな努力だ。それををどれだけしているかが重要だ」
―合流間もないが、チームに足りないと思うところは。
「もっとメンバー全員がリーダーとして動くべき。お互いに対して要求を伝えること。そこでコミュニケーションをとっていけばいい。もちろん、マエカワサン(フランカー、主将)がメッセージを伝えるけど、だからといって他のメンバーがリーダーとして動けないわけではない。全員が立ち上がってリーダーになれるはずだ。自発的に行動することが重要だ」
―CTB、WTB、FBができる。神戸製鋼でプレーする上で、どこが自分に適していると思うか。
「正直、それを言うのは難しい。言われたポジションは、どこでもトップパフォーマンスを出したいたいと思っている。だから、やりたいポジションというのはない。ポジションに関係なくプレーできることがチームの結果につながると思っている。言われたポジションをやりたい」
―オーストラリア代表を引退したという報道がある。これからのキャリアをどう描いているか。
「代表をやめたわけではないよ。呼ばれたらハッピーだ。でも、今集中しているのはコウベだけ。コウベで現役を終えるつもりだ。10年後にコウベでキャリアを終えるよ」
―日本の好きな食べ物はあるか。
「神戸ビーフだ。とにかく素晴らしい。アメージングだ。妻(アナさん)も?もちろん、同じ意見だよ。もう2、3回食べたよ」
◆アダム・アシュリークーパー 1984年3月27日、オーストラリアのシドニー出身。ワールドカップ(W杯)に3度出場し、大会通算11トライは世界歴代5位。今季までの2年間はボルドー(フランス)に在籍。WTB、FBもできるが、戸製鋼ではCTBでの出場に期待がかかる。7月末にアナさん(33)と結婚。1メートル83、96キロ。
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