大鵬孫納谷、緊張の序ノ口1勝 朝青おいとライバル物語幕開け
2018年03月13日 05:30
相撲
「いいスタート。この流れについていけたら」。大きく下がって仕切る相手の奇襲にも動じなかった。足をしっかり出す持ち味の押し相撲で、師匠の大嶽親方(元十両・大竜)の「自分の相撲を取れ」という指導を守った。同部屋では元幕内・大砂嵐が無免許運転の責任を問われて引退したばかり。その重い空気も吹き飛ばした。
取り口は冷静に見えても、高校を出たばかりの18歳。内面は「めちゃくちゃ緊張した」と振り返った。記念のプロ1勝目には「ほっとしたのが一番です」とも打ち明けた。
先場所の前相撲で3戦全勝しているが、番付にしこ名が載って最初の本土俵は特別だった。前夜は熟睡。目覚めもすっきり。ところが土俵下で急に心臓が高鳴りはじめた。「気持ちがたかぶったというか。(前相撲と)全然違った。小学生のとき以来。(そのころは)試合に出るたびに緊張していました」と苦笑いした。
周囲の声も力になっている。今月上旬、卒業式のために母校の埼玉栄高校へ帰ると、友人たちから「頑張れ」と激励された。求められたサインは「まだ(立場上)書けないから」と断った。慣例上、サインが許されるのは関取以上。だが、土俵から引き揚げる姿には、すでに風格が漂う。サインの求めに応じる日も近いはず。後ろ姿には、偉大な祖父の背中が重なっていた。
◆納谷 幸之介(なや・こうのすけ)本名同じ。2000年(平12)2月14日生まれ、東京都出身の18歳。大嶽部屋。元横綱・大鵬の三女、納谷美絵子さんと元関脇・貴闘力の鎌苅忠茂氏との三男。埼玉・大宮西中から埼玉栄に進学。17年愛媛国体少年の部で団体、個人で優勝。18年初場所の前相撲で初土俵。1メートル88、170キロ。得意は突き、押し。
▼宇瑠寅 (突きが)1発じゃなくてよかった。もっと粘りたかったけど。(67キロの体でかく乱作戦も、通用せず)
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