再起願うも…稀勢に“最後通告”横審厳命「来場所出て」
2018年11月27日 05:30
相撲
稀勢の里は新横綱で優勝した昨年春場所で負った左大胸筋の負傷などで、今年名古屋場所まで横綱ワーストとなる8場所連続休場。その間も、万全での復帰を望む横審は決議に至らなかった。稀勢の里は秋場所で10勝を挙げたが、九州場所は初日から4連敗で途中休場。在位11場所で9度目の休場とあっては、横審も何らかの態度を示さなければならなかった。委員は九州場所千秋楽後に激励の決議書に署名。この日、八角理事長に提出した。
稀勢の里は九州場所休場の際、「右膝挫傷捻挫で全治1カ月の休業加療を要する」との診断書を提出。だが、委員の間では初場所の出場を強く求める声が多かった。北村委員長も復帰場所について「ケガがどういうことかきっちりつかめていないが、私の個人的な気持ちで言えば、出てきてほしい」と述べた。目安となる勝ち星については「特に考えていない。再起というか、そういうのがうかがえる成績であってほしい」と好成績を残してくれることを期待した。
初場所に出場できなければ、「激励」より重い「注意」「引退勧告」が決議される可能性もある。北村委員長は「考えなければならないかもしれない。その時になってどういう状況になっているか。委員の皆さんがどう受け止めるかにもよる」と否定しなかった。
稀勢の里は休場を決めた際、師匠の田子ノ浦親方(元幕内・隆の鶴)に「このままでは終われない。もう一回チャンスをもらいたい」と訴えた。前日の部屋の千秋楽祝賀会では「また、来場所元気な姿で帰ってこられるように」と今後、治療、稽古に集中する意向も示したが、初場所までに万全に戻るかは定かでない。田子ノ浦親方も「ただ出るというわけにはいかない。それを踏まえて次の場所に向けてしっかりやらないと」としている。だが、横審の激励に応えるためには、初場所の出場は避けられない。秋場所以上に、稀勢の里が“待ったなし”の状況に追い込まれた。
▽横綱審議委員会 1950年5月に設置。昇進問題など横綱に関する諸案件について日本相撲協会の諮問に答申する。委員の定員は15人以内で現在は9人。任期は2年で5期10年まで。不成績が目立ったりする横綱には、委員の3分の2以上の決議があれば「激励」「注意」「引退勧告」などを出すことができる。昨年1月から北村正任氏(毎日新聞社名誉顧問)が委員長を務める。
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