12・1クラロワ世界一決定戦 みかん坊やが見せる試合直前の笑み、その理由とは
2018年11月30日 05:30
スポーツ
試合開始の直前、みかん坊やは決まって笑みを浮かべる。エリクサーポンプが満タンに充てんされるまでの数秒間、緊張をゆるめるためのリラックスとも、あるいは大胆不敵とも受け取れる表情。その一瞬に、ポノススポーツの司令塔にして日本のエースの本質が表れている。
「負けず嫌いです。当然、世界一決定戦でも負けたくありません。昨年にロンドンであった世界一決定戦は解説者として行って“この舞台に立ちたい”という気持ちになりました。今回のチャンスを生かしたいです」
チームを率いる監督としてはレギュラーシーズンから卓抜した戦略を遂行した。2戦先勝のセット方式では、第1セットの2v2を最重視。「2v2は1v1より圧倒的に比率を大きく見ていました。最初のセットに勝てば、第2セット以降で相手にかけられる重圧がまったく違うので」。シーズン2から新加入したRolaporonには得意の1v1に専念させて、2v2は自らと天GODを主戦コンビとする先手必勝オーダーを確立した。
選手としては誰よりも勝利に執着して、ここ一番の正念場を確実にものにしてきた。プロ選手になる前からのめりこんでいたクラロワ。1日24時間を通り越して、ぶっ通しで30時間以上プレーしたこともあるという。「ご飯食べながらゲーム、風呂に入りながらゲーム、トイレを済ませながらゲーム。気づいたら朝になっていて、ベッドの枕元にあったスマホに負けの画面が表示されていました。“あ、プレーしながら寝落ちしたんだな”って…」。選手プロフィルに輝く2万勝だけではない。気の遠くなるような数の敗戦の悔しさがゆるぎない土台となっている。
「ポノススポーツは士気が上がるし、和やかさもあります。どのチームよりも雰囲気がいいというところを見てほしいです」。プロ選手となって、チームの結果に責任を背負う立場にもなった。それでも勝負に挑むときの思いは、昔も今も変わらないという。
試合が始まる瞬間、日本のエースはなぜ笑みを浮かべるのか?
「勝負をするときはいつでも楽しいからです。今も重圧より楽しい気持ちの方が強いです」
まばゆい栄光をつかむため、海外の最強プレーヤーたちを日本で迎え撃つ戦い。世界一決定戦のゴングが鳴った瞬間、みかん坊やが笑う。(内匠 俊頌)
◆みかん坊や 青森出身。これまでにはまったゲームは、小学では将棋、中学ではパワプロ。好きなカードはプリンセス。
≪ポノス、躍進に期待≫チームを運営するモバイルゲーム企業のポノスも、世界一決定戦での躍進に期待を寄せた。同社は「ナナメウエ、イケテル?」を合言葉に、ユニークで長年にわたって親しまれるようなゲーム開発に取り組んでいる。「にゃんこ大戦争」を筆頭としたタイトル群とともに、eスポーツでもクラロワで存在感を示している。辻子依旦代表取締役は「今回の世界一決定戦への出場は、クラロワという世界中で有名なゲームを通じて企業の名前を知ってもらえるきっかけにもなるのではと思います」とポノススポーツの意義を語った。「eスポーツは数年であるべき姿が完成するものではありません。10年、20年、100年と続いていくだろう流れの中で、いま弊社としてできることをやっていきたいです」と、モバイルゲーム企業としての社会的な役割にも視線を据えている。
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