紀平、シニア初年度でGPファイナル制覇!真央さん以来13年ぶりの快挙
2018年12月10日 05:30
フィギュアスケート
ひとたびリンクに上がれば、戦う顔になる。フリー冒頭はトリプルアクセルで失敗。2回転半となったが、緊張は解けた。2回目の大技に2回転トーループを付けて完璧に決め、ルッツ―トーループの連続3回転も文句なし。NHK杯の自己最高点には届かなかったが、「ミスがあっても切り替えられた。演技が終わった時は凄くうれしさが出た」と笑った。フリー曲は地球の誕生を連想させる「ビューティフル・ストーム」。紀平が見せた力強いジャンプが、新時代を告げる美しい嵐となった。
直近4年のファイナルはロシア勢が女王を独占してきた。昨年はザギトワがブレークし、平昌五輪金メダルを獲得。その大舞台で、トリプルアクセルを突破口に勢力図を塗り替えた。「自分の実力を点数に表せてうれしい。ザギトワ選手も自分の中でいい点数じゃなかったと思う。もっといい演技をしてくると思うので、どんな緊張感でもSP、フリーをそろえることが大事」。ジュニア時代から通算2勝1敗としたライバルとの、次の対戦を見据えた。
因縁の地で、日本女子の歴史をつなげた。10年バンクーバー五輪、紀平が憧れる浅田真央がいた。代名詞であるトリプルアクセルをSP、フリーで計3度成功させながら銀メダル。この優勝で、少しだけ、憧れの存在と肩を並べた。「アクセルという大技を選択しない方法もあったけど、今はやり続けてきてよかった」。高難度の武器にこだわる姿勢も、その系譜だ。
目標は当然、22年北京五輪。「北京五輪で優勝という夢がある。モチベーションは凄くいい状態。それまで安定した成績が残せるように、と思います」。かつて浅田に手紙とぬいぐるみを投げ入れた少女は、時を経て、次世代を担う世界一のアクセルジャンパーへと成長した。
▽紀平 梨花(きひら・りか) ☆生まれとサイズ 2002年(平14)7月21日生まれ、兵庫県西宮市出身の16歳。1メートル54。
☆競技歴 5歳の時に姉と一緒にスケート教室に参加したのがきっかけ。平昌五輪4位・宮原知子と同じ浜田美栄、田村岳斗コーチに師事する。
☆通信制高校 インターネットを活用した通信制のN高校に籍を置く1年生。ネット通信で授業を受け、決められた日数を大阪校舎に通う。
☆世界初の大技 16年ジュニアGPスロベニア大会フリーで全6種類、8つの3回転ジャンプに成功。昨年12月のジュニアGPファイナルでは、トリプルアクセル―3回転トーループの連続ジャンプを決めた。ともに国際スケート連盟(ISU)公認大会では女子初。
☆ホープ 平昌五輪はISUが定めた年齢制限のため出場資格がなかったものの、昨年12月の全日本選手権ではジュニアながら3位に。
【浅田の05〜06年シーズン】 シニアの国際大会初出場となったGPシリーズ中国杯で2位、05年11月のフランス杯ではフリーでトリプルアクセルを決めて優勝。史上2番目の若さ(当時)となる15歳2カ月でGPシリーズ制覇を果たした。12月のGPファイナル(東京)でもSP首位、フリーでトリプルアクセルを決めて初出場初優勝。しかし、国際スケート連盟の年齢制限で、翌年2月のトリノ五輪参加はできなかった。
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