池江璃花子 白血病を公表、療養専念 復帰未定も東京五輪諦めない
2019年02月13日 05:30
競泳
異変が起きたのは、1月18日からのオーストラリア合宿中。国内と同じ週9回(2部練習含む)のスイム、週2回のウエートトレのメニューをこなしていたが、合宿2週目に入った同25日ごろから軽めの練習でも肩で息をする姿が目立つようになった。食事も思うように喉を通らず、練習直後のプロテインも体が拒否。今月4日に現地の病院で血液と心電図の検査を受けた。検査結果が出た6日に早期帰国を促され、予定を2日前倒しして8日に帰国。都内の病院に直行して、検査を受けた結果、白血病と診断され、そのまま闘病生活に入った。
日本水泳連盟は午後4時から都内で緊急会見。上野広治副会長(59)は「今の段階では白血病としか言えない。治療は今朝(12日)午前9時からスタートした」と細かい病名は伏せた。所属するルネサンスの吉田正昭代表取締役社長(62)は「医師からは早期発見ができたと説明を受けている」と明かした。通常の生活では発見できる段階ではなく、厳しい練習を積むアスリートだからこそ、異変をいち早く察して早期発見につながったという。
池江は昨夏のアジア大会で6冠を達成し、大会最優秀選手に輝いた。昨年11月のW杯東京大会では短水路(25メートルプール)ながら、本命種目の100メートルバタフライでリオ五輪覇者のサラ・ショーストロム(スウェーデン)にも勝利した。20年東京五輪での金メダルが視界に入ってきた矢先に病魔に襲われた。
上野副会長は「先々は厳しい道のりになる」と語った。所属するルネサンスの三木二郎コーチ(35)は東京五輪について「まだ可能性はゼロではない」と言葉を絞り出した。可能性がある限り諦めない。上野副会長は「本人の強い希望で病名を含めていち早く発表した」と強調した。病名公表に踏み切った決断に、池江の覚悟がにじんだ。
▽白血病 血液のがんの一種。血液を作る過程で異常が起こり、血球ががん化した細胞となって無制限に増殖することで発症する。がん細胞が急速に増殖する「急性白血病」と、がん細胞がゆっくり増殖する「慢性白血病」に大きく分けられ、がん細胞が骨髄系の場合は「骨髄性白血病」、リンパ系の場合は「リンパ性白血病」に分類される。急性白血病では貧血や息切れなどの症状が出る。慢性白血病では初期段階では自覚症状がない。治療法には、抗がん剤を用いた化学療法や骨髄移植などがある。
◆池江 璃花子(いけえ・りかこ)2000年(平12)7月4日生まれ、東京都出身の18歳。東京・淑徳巣鴨高3年。姉と兄の影響で3歳10カ月から水泳を始める。50、100、200メートル自由形と50、100メートルバタフライの5つの日本記録を保持。16年リオデジャネイロ五輪はリレーを含めて7種目に出場し、100メートルバタフライ5位。15、17年世界選手権代表。昨年のジャカルタ・アジア大会で6冠に輝いた。1メートル71、60キロ。
【昨夏以降の池江璃花子】
▽18年8月 パンパシフィック選手権(辰巳)の100メートルバタフライで自身の日本記録を0秒15更新する56秒08で主要国際大会初の金メダルを獲得。リオ五輪銀メダル相当の好記録だった。
▽同 ジャカルタ・アジア大会で50&100メートル自由形、50&100メートルバタフライ、400メートルリレー、400メートルメドレーリレーを制し、日本勢で最多となる6個の金メダルを獲得。大会MVPも受賞した。
▽9月17日 国体の少年女子A50メートル自由形で優勝し、シーズンを締めくくる。
▽10月3日 日大スポーツ科学部のAO入試に合格。日本水連の18年度最優秀選手にも選出された。
▽11月 短水路で争うW杯東京大会に出場し、100メートルバタフライで55秒31の日本新記録をマークして優勝。
▽同 「KOSUKE KITAJIMA CUP」に出場し、100メートル自由形で52秒79の日本新記録をマークして優勝。
▽同 東京スイミングスクールセンター招待公認記録会で、200メートル自由形を制した。
▽12月1日 米アリゾナ州フラッグスタッフでの高地合宿に出発。24日の帰国では「質の高い練習ができた」と話していた。
▽12月31日 紅白歌合戦のゲスト審査員を務める。
▽19年1月13日 三菱養和スプリントで19年初レースに臨み、100メートルバタフライでは自身の日本記録から4秒以上遅いタイムに終わり、「体が重くてビックリするくらい遅かった」と話した。
▽1月18日 オーストラリア・ゴールドコーストでの合宿に出発。
▽2月4日 現地の日本人医療センターで血液検査などを受ける。
▽6日 帰国しての再検査を勧められる。
▽8日 10日帰国の予定を早めて緊急帰国して再検査、そのまま入院した。
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