前例なき強化策進めるジョセフ・ジャパン、その成否は?
2019年02月27日 09:30
ラグビー
それでもポジティブに捉えられる要素は多かった。後半30分のWTBファンデンヒーファーのサインプレーによるトライにつながる一連の流れは、それが凝縮されていたように思う。この時間帯、サンウルブズはロックのトンプソンが反則の繰り返しによるシンビンで、FWが1人足りない状況だった。記者席からもどうするのだろうと思い双眼鏡を覗いていたが、ファンデンヒーファーが戸惑いの表情で右往左往しているのが見て取れた。
この時、コーチボックスからは「スクラムに入れ」の指示。しかし司令塔のパーカーは「入るな」と指示したという。言うまでもなく、本来は首脳陣の指示を聞くべき。だが選手主導の判断が、1点差に詰め寄るトライにつながったことは、その後のサインプレーを完遂したこととともに、チームの成長を示すものだった。
押されながらも7人でマイボールを確保したスクラムも、1週間前の惨状からは見違えるものだった。2度のターンオーバーに成功した先発のフロントローは全員が退いており、リザーブの3人が最前線で体を張ったことも評価できる。試合からさかのぼること5日前の練習後、フッカー坂手淳史が「代表とは180度違う組み方」とサンウルブズのスクラムを表現したが、そんな状況での修正は見事だった。33歳のベテラン、山下裕史の存在は大きかったと見る。
現在、W杯日本代表候補の多くは、東京都内で別途合宿中。チームを構成するのはマーキープレーヤーと呼ばれる日本代表資格を持たない外国人選手と、一部のW杯代表候補だ。したがってサンウルブズの進化の全てが日本代表にもたらされるわけではないが、選手個々のスキルアップや経験値は、いずれ還元される。
もちろん、W杯イヤーを迎えても候補を絞りきらず、チームとしての連係や一体感が高まりにくいという負の側面はあるだろう。メリットを最大化し、デメリットをいかに消せるか。他国も含めて前例のないW杯イヤーの強化策を推し進めるジョセフ・ジャパン。その成否はこれからの半年間に懸かっている。(記者コラム・阿部 令)
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