荒磯親方 春場所を総括 最も印象に残った「千秋楽の貴景勝」
2019年03月26日 08:30
相撲
最も印象に残っているのは千秋楽の貴景勝の相撲です。栃ノ心を一気に持っていきましたが、勝たなければ2桁勝利に届かないという重圧の中で力を出し切れるのはたいしたものです。貴景勝の相撲を支えているのは足腰の強さ、特に腰の力です。現役時代、貴景勝との初対戦(17年名古屋場所)から1年ぐらいたつと、圧力は全く違っていました。腰が決まっていることで安定感も出てきました。
強さが目立ったのは、逸ノ城です。逸ノ城には「止まれる強さ」がありました。よく足を動かせと言われますが、強くなければバシッと止まることができません。立ち合いの1歩目が速く、2歩目で両足が地面につくのも速い。相手は押しにいっても四つを組みにいっても吸い込まれていました。圧力を感じて動いたところではたかれる。逸ノ城ははたき込みで6勝していますが、たまたまではなく意味があるのです。
大栄翔は7勝8敗で負け越しましたが、高安、豪栄道を破るなど急激に力をつけてきたという印象です。出足もいいし思い切りもいい。大きな突っ張りも威力があるのでしょう。来場所も横綱、大関と当たるようなら楽しみな存在です。
日本出身力士が優勝から遠ざかっていたときに琴奨菊が優勝(16年初場所)して、日本勢の活躍が続くようになりました。きっかけがあれば続く。平成最後の場所で貴景勝が大関昇進を確実にしましたが、「次は俺だ」と思っている若手力士はたくさんいるはずです。もう1人、2人、貴景勝の対抗馬として出てくれば、新元号になっても盛り上がっていくでしょう。(元横綱・稀勢の里)
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