貴景勝 苦渋の休場…来場所はカド番「強くなって戻る」

2019年05月17日 05:30

相撲

貴景勝 苦渋の休場…来場所はカド番「強くなって戻る」
検査のため都内の病院に到着し苦しそうな表情で車から降りた貴景勝(右)(撮影・西海健太郎) Photo By スポニチ
 【大相撲夏場所5日目 ( 2019年5月16日    両国国技館 )】 大相撲の新大関・貴景勝(22=千賀ノ浦部屋)が16日、夏場所5日目から休場した。4日目の小結・御嶽海(26=出羽海部屋)との取組で右膝関節内側側副じん帯を損傷し、約3週間の加療を要するとの診断を受けた。都内の病院で治療を終えた若武者は、スポニチの取材に、新大関として迎えた令和初の本場所を去る心境と再起への思いを語った。
 新大関にとって苦渋の決断だった。ケガを負った御嶽海戦から一夜明け、都内の2つの病院を回って治療。貴景勝は「悔しいですけど休場です。再出場は回復次第ですけど、いまは幕の内上位で相撲を取れる状態じゃない。切れかかっているじん帯が断裂したら、取り戻しがつかないことになりますから」と無念の表情を浮かべた。

 悪夢は新技のもろ差しで御嶽海を抱えて、左から揺さぶった時だった。軸足となった右足の膝をひねるような形になり、「ゴリゴリゴリ」と関節から音が聞こえたという。その瞬間は「やばい」と焦りながらも、「勝たないといけないから」と集中した。ジワジワと前に出て寄り切り、5連敗中の天敵を仕留めた。

 優勝戦線に残る上で重要な一番を制したが、賜杯よりも力士生命を優先した。「どっちにしても踏み込めない。俺の場合は踏み込みが命だから。左足1本と両手だけでこの位置では戦えない。足裏、足首のケガはあったけど、まさか膝をケガするとは。これから先もありますから」。注射を打つと、痛みは安定し始めたが再始動には時間を要しそうだ。

 代償もあったが収穫もあった。場所前から取り組んだ「もろ差し」での1勝に、手応えは「ある」と即答した。突き押し以外の攻撃パターンには「安心して出られる。突きは相手と離れているから最後の一歩で逆転もあるけれど、これはない。引きつけてゆっくり寄っていけばいい。御嶽海関にもろ差しで勝ち切れたから、一つのきっかけになったかな」とうなずいた。

 昨年春場所以来、通算2度目の休場。再出場への含みを持たせたものの、名古屋場所はいきなりカド番になる可能性が高い。前師匠の元貴乃花親方(元横綱)は、くしくも同じ右膝の重傷が引退に直結。膝の故障に苦しんだ力士は少なくない。22歳の若武者は「大関になったばかりで、カド番になるかもしれないが一生懸命、前向きにやるしかない。会場で貴景勝の名前が書いてある青いタオルを振ってくれるファンに最高の結果を残せるように、しっかり治療して、強くなって戻ってきます」と言葉に力を込めた。

 ≪治りやすい箇所≫貴景勝のケガについて、横浜整形外科医会の松宮是哲副会長は「一般論として、4つあるじん帯のなかで内側は一番治りやすい箇所。約3週間の診断なら比較的軽いものでしょう」との見解を示した。松宮氏は取組で内側にひねったような動きが故障につながった可能性が高いと指摘。今後の見通しについては「名古屋場所は大丈夫でしょう。今後に影響を及ぼすようなケガではない」と話した。

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