考えて食べて“大物食い”8強だ!ラグビー日本代表 「明治」管理栄養士の指導で選手自ら食を選択
2019年08月27日 05:30
ラグビー
「それぐらいの量を食べないと体重が減っていきます。(重さが武器となる)FWは体重の増減には特に敏感です」
合宿は、朝昼晩ビュッフェ形式。主食だけで、ごはん、パン、シリアル類などが各3~4種類用意される。多彩なレシピの肉、魚、卵料理。緑黄色野菜がそろうサラダコーナー、乳製品、フルーツのほか、スムージーなどの飲み物まで入れると、朝から50~60種類の品数が並ぶ。体脂肪率を抑えるため、揚げ物は「極力控えます」。トンカツではなく“焼きカツ”。スイーツは週に1回ほど。筋肉になりやすい高タンパク質、低脂質が基本のアスリート食だ。
6、7月の宮崎合宿は、過酷な1日4部練習だった。「筋肉量3キロ増の体重118キロ」を掲げたプロップ稲垣のような大型志向を含め、全選手が夜食や練習後のプロテインなどで栄養を補った。5000キロカロリーを超すエネルギー摂取は「補食」を加えた1日7~8食で達する数字だ。
選手は好きな物を選んで食べられる。ただし、1回で「栄養フルコース型」の食事になるよう、自分で考える必要がある。“フルコース”は(1)主食(炭水化物=糖質)(2)おかず(タンパク質)(3)野菜(ビタミン、ミネラル)(4)果物(ビタミン、炭水化物)(5)乳製品(タンパク質、カルシウム)を満たすこと。フッカー坂手の食事は模範的だ。
この2年で意識が変わった選手がいる。ワールドクラスの突破力を持つ1メートル87、108キロのフランカー/No・8姫野は、かつて朝食を簡単に済ませていた。スムージー、サラダ、フルーツだけ。エネルギー源に不可欠な「主食」のごはんなどを食べなかった。村野さんは根気強く「食」の大切さを諭し続けた。本人の故障もあって徐々に態度が変化。自炊も始めた。今では合宿以外の食生活の画像を村野さんのスマホに送ってくるという。
良き出会いもあった。昨年末、姫野は「村野さんに紹介してもらって」、同じ94年生まれの大リーグ・大谷翔平と和食店で会食した。村野さんは大谷も担当したことがあったのだ。白球と楕円(だえん)球のヒーローを結びつけたキューピッドは会談の様子を多く語らないものの、勤勉な大谷の姿勢が姫野の琴線に触れた可能性はある。8月、姫野は明治とサポート契約を結んだ際に、同社を通じ「栄養にあまり関心がなかったが、知識を教えてもらい、栄養の大切さを気付かせてもらった」と、一皮むけたコメントを残した。
食の大切さは試合前も同じ。キックオフ4時間前に食べる勝負メシの「マッチミール」は、力に変えやすい炭水化物が中心。定番のさけおにぎりやうどんに加え、村野さんは和菓子をW杯で出す予定だ。あんこ餅を頬張って、目指すは8強、さらにその先。栄養食を食べて、食べて、大物食いを果たす。
≪他国の食文化考慮し外国出身者にも好評≫食事は外国出身者にも好評だ。日本国籍を持つニュージーランド出身のWTBレメキは「栄養バランスがいい」と流ちょうな日本語で歓迎した。ジャパンは、トンガ、オーストラリア、韓国、南アフリカ、サモア、フィジーといったさまざまな国の選手が集まる。村野さんは外国出身者の食文化の理解を深めながら、量、栄養バランスを考慮。「食事が楽しめるように」、いろいろなメニューを作成している。なお、納豆やサバの味噌煮など、日本食を好んで食べる選手も多いそうだ。
≪増量には「補食」不可欠≫村野さんはホテルと連携し、首脳陣らの意見も取り入れながらメニューの最終決定をする。栄養や食材を考えるのは村野さんで、味付けはホテルの仕事。練習メニューによっても献立を変える。目標の体重に向けては、食事だけでなく、補食が大事だと訴える。「あれだけ練習をしている代表が体重や体調を維持できるのは、練習前後にサプリメントやプロテインの補給を徹底しているからです」。動いた後に効果的に栄養補給をすることが、現代の体づくりには不可欠だ。
◆村野 あずさ(むらの・あずさ)陸上の長距離選手として全日本大学女子駅伝で優勝し、実業団の横浜銀行で活動。引退後の02年に明治製菓入社。04年に管理栄養士の資格を取得し、陸上、プロ野球、サッカーなどさまざまな競技を担当。現在はプロボクシング3階級制覇の井上尚弥、スピードスケート高木美帆も指導している。
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