世界を超える!橋岡優輝の“超跳愛” 走り幅跳び日本選手権3連覇 20歳イケメンジャンパー
2019年08月27日 09:30
陸上
「自分のやりたい動きが徐々にかみ合ってきたのだと思います。福井の競技場の条件や環境も良かったとは思いますが、やはりアベレージの安定はより大きな記録を狙っていく自信につながります」
――一番楽しい時は?
「やっぱり遠くに跳べた時ですね。どれだけ他の人より遠くへ跳べるかということを目標にやっているので、記録が出た時は一番うれしいです」
――両親ともに陸上競技の日本選手権覇者で、いとこの大樹(20)は浦和レッズの選手ですね。
「頑張ってるんだなって思うと刺激になります」
――幅跳びを始めたきっかけは?
「僕は小学生の頃、少年団のようなものに入ってなくて。中学に入った時に部活動に入らなきゃいけなくて、小学校の時に市の大会で100メートル走で優勝したこともあったので陸上部に入ったんです」
――幅跳びは?
「お母さんがやっていたので。ただ中学では機会がなく、走り高跳びをやる中で跳躍が好きになり、他にもやってみようと幅跳びを始めたのは高校に入ってからです。やっぱりどこかで“やってみたい”という気持ちがあって。最初はとても難しかったけど、記録が出た時の喜びは大きかったですね」
――超気持ちいい瞬間は?
「踏み切りで分かるんです。“あっ!この跳躍はいく”って。その瞬間のキタッ!って感じ。ボウリングのストライクとかと同じですね」
――練習では週に何本跳ぶんですか?
「跳ぶ練習は週に1回。多くて2回」
――それだけ!?
「基本的な走りやウエートトレーニングでの体づくりが主です」
――跳べば跳ぶほど遠くへ跳べるわけじゃないんですね。
「もちろん成長期はそれによって助走のスピードが上がり、遠くへ跳べるようになります。でも一定のところまで来ると、いろんな要素が必要に。体力、技術、その兼ね合いですね」
――練習ではとんでもない記録を出したこともありますか?
「いや、僕は練習では8メートルすら跳んだことないんです(笑い)」
――エーッ!?
「僕の場合は練習は練習なんで(笑い)」
――昔から本番に強い?
「そうですね。何事に対してもそうかもしれません」
――サニブラウン・ハキーム選手とは仲良しですね。
「高校1年の時からずっと友達です」
――遊びに行くことも?
「ボウリングとか」
――助走から凄そう(笑い)。スコアは?
「ハキームが200出して喜んでました(笑い)。僕は180とか190くらい」
――同じアスリートとして彼のどんなところが好きですか?
「物おじしないところ。僕もそのタイプではあるけど、ハキームは凄いなって思います」
――ご両親の存在は?
「日本のトップで陸上をやってきた両親なので“分かってくれる”というのが一番大きいです。試合前だったりケガをした時とかの気持ちとか、どうしたらいいか分かっている」
――説得力がありますもんね。
「そうですね、安心感があります。僕が練習の調子が悪くてヤバイって言うと“大丈夫。試合になったら跳べるよ”って。実際その試合で勝ってたりする。僕の中で両親は心の支えであり、かけがえのない存在です」
――プライベートの時間は?
「予定がなければ一日中、家にいます」
――意外にインドア派?
「そうですね。オンオフの切り替えがはっきりしていて。やりだしたら徹底的にやらないと気が済まない。負けず嫌いなんです。だから誰かが記録出しても、自分の力出せれば勝てるでしょって、自信みたいなものが湧いてくる。そういう性格は両親のおかげかもしれません」
――一番の癒やしの時間は?
「愛犬と触れ合っている時。トイプードルで10歳になるココちゃん。可愛いんです」
――趣味は?
「スニーカー集めが好きですが、一番の趣味って言われたら陸上かもしれません。陸上が好きなんです」
――それは強みですね!しかも幅跳びではなく“陸上”。
「そうです。走ることも高く跳ぶことも好きなんです。実際、気分転換で高跳びもやったりするんで」
――長距離走は?
「あっ!それは僕の専門外です(笑い)」
――今人気の俳優、横浜流星さんに似ていると評判です。
「言われますが、そんなに似ているかなあって思います」
――芸能人で好きなタイプは?
「橋本環奈さん、ガッキー」
――どんな女性が好きですか?
「感情が豊かで。喜怒哀楽がはっきりしていて、言いにくいことでもパッと言ってくれた方がいいですね」
――コーチともそういう関係?
「そうですね。僕がイヤなものはイヤと言うと、その上でしっかり考えてくれます。そういうところでも僕は恵まれています。コーチは凄く重要なんで」
――東京五輪への思いを?
「母国開催というめったにない機会に、いい年齢で挑むことができるので。自分のやるべきことをやって最大限のパフォーマンスをしっかり発揮できるよう、今は小さな目標を一つずつクリアしていこうと思っています」
――今の目標は?
「8メートル40。その後は8メートル70とか8メートル後半を目指していきたい」
――その数字って完全に「世界」ですね!
「日本の中での争いもし烈ですが、常に世界を意識しています。世界陸上でも東京五輪でも、このあたりが出せればメダル争いはできると思う」
――9月末の世界陸上への抱負を。
「初出場なのでチャレンジャーとして最大限の力を発揮したいですし、日本記録を出して自分の中でまだまだいける実感があるので本当に楽しみです!」
◆橋岡 優輝(はしおか・ゆうき)1999年(平11)1月23日生まれ、茨城県出身の20歳。さいたま市立岸中から陸上をはじめ、八王子学園八王子高2年で高校生歴代10傑となる7メートル70を記録。日本選手権を3連覇。4月のアジア選手権では8メートル22を跳び優勝した。陸上一家で、父利行さんは棒高跳びで日本選手権を7度優勝した元日本記録保持者。母直美さんも100メートル障害、走り幅跳び、三段跳びで活躍し、100メートル障害では高校総体3連覇した実績を持つ。1メートル83、77キロ。
【取材後記】どんな質問にも笑顔で小気味よく、明快に答える大らかさ。その一方で、自分の決めた道筋は曲げず、他の選手がどんな記録を出しても「オーッ、やるじゃん」と動じない強さがある。それは硬軟自在というよりも、ブレない強さの中に弾力的な“クッション性”を内包した、どんなプレッシャーにも形状が変わらない「低反発まくら」のような人と言えるのではないでしょうか。橋岡選手の強さのワケと人間的な魅力はここにある気がします。
ご両親ともに凄いアスリートなのに英才教育をせず、伸び伸びと育てられたことが好奇心旺盛で健やかな成長につながったのではないでしょうか。そんなご両親を「心の支え、かけがえのない存在」と言い切った時の柔和な表情はとても印象的でした。 (加藤 綾子)
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