渋野 五輪1年延期で全英優勝100Pが17・39Pまで目減りも
2020年04月05日 05:30
ゴルフ
まずは世界ランキングの制度を改めて説明する。過去2年間(104週)の総獲得ポイントを、出場試合数で割った平均ポイントが順位のベース。直近13週の獲得ポイントは100%加算されるが、それ以前の91週は毎週約1・09%の割合で減算される。さらに、獲得できるポイントは試合によって異なる。最も大きいのは海外メジャーで、優勝者の獲得ポイントは100。一方、日本ツアーの昨年実績はメジャーでも20ポイント前後で、大きな差がある。
これを踏まえた上で、延期の影響を最も受けるとみられるのが、昨年のAIG全英女子オープン優勝で100ポイントを稼いだ渋野だ。18年は下部ツアーが主戦場で計2・89ポイントしか得ておらず、これまでは減算されるポイントが少ない上、大きなポイントを獲得したため、一気に浮上し上位もキープできた。しかし、代表争いが延びれば“貯金”の100ポイントの減算率は激しくなる。
予定通り今年五輪が開催された場合、五輪出場を決める世界ランクは6月29日付で、渋野の全英Vのポイントは61・96ポイント。ところが、今後6月以降に国内外の試合が再開され、世界ランキングも再稼働したと仮定すると、試算では来年6月末には17・39ポイントまで目減りする。現時点で国際ゴルフ連盟が特別措置を設けるかは発表していないが、従来通りの方法で現在の順位を維持するには、再開後に多くのポイントを稼ぐ必要が出てくる。
効率的なのはポイントの高い米ツアー、特にメジャーで上位に入ること。渋野はシーズン当初、海外メジャー全試合に出場予定だった。だが、延期となっていたANAインスピレーションの新日程が、地元・岡山で開催される国内メジャーの日本女子プロ選手権コニカミノルタ杯(9月10~13日)と重なるなど、悩ましい状況となっている。
日本で3番手の鈴木は18年に国内4勝、昨年は7勝を挙げた。予定通りに五輪が開催され、コロナの影響で試合数が減っている状況下では18年のポイントが減らない渋野と比べて“不利”という見方だった。しかし、1年延期で形勢は一変。特に鈴木の19年は11月以降に3勝を重ねており、減算率は少ない。
1番手の畑岡は18、19年と着実にポイントを重ねてきている。今季は開幕から2戦連続の2位と、すでに36ポイントを獲得した。米ツアーを主戦場としている環境を加味すると、絶対的な優位性は変わらない。
≪萌寧、河本、桃子にもチャンス≫代表入りは困難とみられていた4番手の稲見、5番手の河本、6番手の上田らは、逆に五輪出場の可能性が出てきた。3番手の鈴木と稲見には現時点で2.15ポイントという大差があり、今夏に五輪が開催された場合、わずか3カ月でその差を埋めることは厳しい状況だった。しかし、1年延期によって今後の成績次第では逆転することが可能になった。追い掛ける側にとっては夢をつなぐ1年ということになる。
◇ポイント計算式 過去104週間の対象試合の獲得総ポイントを出場試合数で割った平均値が世界ランクのポイント。渋野は3月16日時点で総ポイント196.19を試合数(47)で割った4.17を保有する。ポイントは13週目まで100%。14週目からは均等の割合(毎週1.09%)で減少し、105週目で0ポイントとなる仕組み。