峰幸代 上野と再び頂点を!ソフトボール北京金“伝説の413球”全て受けた相棒、打倒米の切り札に
2020年05月06日 05:30
ソフトボール
「以前よりも変化球の動きを細かく考えていて、打者の芯を外す技術が高くなっていると感じました」
昨年12月に5年ぶりに代表合宿に呼ばれたものの、調整を任されている上野は不参加で、2月のグアムでようやくボールを受けた。昔話にも花が咲いた。
「北京五輪の決勝前日に、上野さんの右手中指の皮が信じられないぐらいにベロンとむけて、それを見せられた時に、やばいんじゃないかって思いました。そんな当時の話をよくしました。こんな話ができるのも、上野さん、山田さん(恵里、主将)、私の3人しかいなくなりました」
上野の球を受けなかったこの6年間、峰には変化があった。14年に1度引退した。木更津総合高卒業後にルネサス高崎に入り、ソフト一筋で生きてきた。チームがビックカメラ高崎に移管されるタイミングで「1回休もう」と、外の世界を見る決断をした。
指導者資格を取り、競技普及のためにソフトボール教室に参加した。離れて気付いた。「私はソフトが好きなんだと、再確認できた」。16年、トヨタ自動車で現役復帰した。
新天地では、米国のエース、モニカ・アボット(34)の女房役を務める。日本代表の宇津木麗華監督(56)は、世界一のサウスポーの球種、完璧主義者の性格までを知り尽くす峰を切り札として合宿に呼んだ。サプライズ招集だった。
情報だけを知りたいのではない。かつて日本の4番を張った「外国人キラー」の打棒にも期待する。正妻は我妻悠香(25=ビックカメラ高崎)が有力ながら、2番手争いは混沌(こんとん)としている。
新型コロナウイルスの影響で現在は豊田市内の自宅周辺でトレーニングをする。五輪の1年延期で代表発表も先送りになったが「意外に受け入れやすかった」と冷静だ。
20歳で出た北京大会後に、競技は五輪から除外された。東京で復活するまでの12年間を思えば、1年待つぐらいたやすいものだ。
「ゴールは東京五輪で金メダルを獲ること。全てはそこにつながっていると信じて過ごしたい」
酸いも甘いも知ったベテランの信念は、揺るぎない。
▽ソフトボール代表争い 東京五輪の代表は15人。現在、20人まで絞り込まれている。捕手は我妻、峰、清原の3人が候補。捕手2枠とするなら、峰、清原の争いになる。
▽北京五輪の峰 先発出場の際は8番で出場。決勝トーナメント3試合は、先発フル出場で「上野の413球」を全て受けた。大会の通算成績は、8試合20打数1安打1打点だった。
◆峰 幸代(みね・ゆきよ)1988年(昭63)1月26日生まれ、福岡県出身の32歳。小学3年から野球を始め、中学からソフトボールに。木更津総合高(千葉)を経てルネサス高崎入り。北京五輪金メダルの他に、世界選手権優勝2回、準優勝1回。トヨタ自動車でも国内リーグ制覇を経験。1メートル65、右投げ右打ち。
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