内村決めた!4大会連続五輪、鉄棒でつかんだ自身初種目別金メダルへの挑戦権
2021年06月07日 05:30
体操
08年北京は無心で代表入り。12年ロンドンと16年リオデジャネイロは実績から国内選考を前に内定していた。「選考のガチバトルは初めてなんでね」。1枠を巡る種目別の代表争い。跳馬の米倉と選考ポイントで並んだが、積み重ねてきた得点の差で東京切符をつかんだ。満足感から程遠い出来が、米倉の元に足を運ばせる。「ホントに申し訳ない」。ライバルへの謝罪は、偽らざる本心だった。
何が明暗を分けたのか。内村は笑った。「運です。運以外ないです。毎回毎回、運を使っているので今後の人生が心配」。4月の全日本でスタートした選考会の計5演技。H難度の大技を投入し、一度でも落下すればアウトの状況で大きなミスなく駆け抜けた。体操を誰よりも愛し、真摯(しんし)に汗を流す日々。その姿勢が五輪の女神を振り向かせ、わずかな違いを生んだ。
深刻な両肩痛を抱えていた19年4月の全日本選手権は、まさかの予選落ち。20年2月、6種目の個人総合と仲間と闘う団体総合への未練を断ち切り、鉄棒に絞ると決断した。「1回、どん底まで落ちた人間って、さらに強くなれるんだなと改めて感じている。鉄棒で代表に入ることを選んだ。選択は間違いじゃなかった」と振り返った。
「人生最大の奇跡」と表現してきた自国開催の夢舞台に向け、さらに難度を上げる構想もある。「今日(6日)の鉄棒で、レジェンドとかキングとか言えない。かなり前向きに捉えると、五輪で完璧な演技を出すための最後の試練。満足いく演技を追求していきたい」。黄金のキャリアに唯一、足りない五輪種目別の金メダル。描く理想を体現した先に、念願のタイトルは待つ。
【内村過去の五輪】
▼08年北京 04年のアテネ五輪で金メダルを獲得した冨田らとともに、団体総合で銀メダルを獲得。個人総合では一時、出場24選手中23位となったが、最終種目の鉄棒で3度の離れ技を成功させて逆転で銀メダル。「信じられない。種目別は1種目だけど、個人総合は6種目やってどうか。体操の世界で2番になれたのは自信になるし、うれしい」
▼12年ロンドン 団体総合では最終種目のあん馬の内村の得点が低く、日本は4位となった。だが、猛抗議の末に修正され、2大会連続の銀メダル。個人総合では全6種目でただ一人、15点以上の高得点を並べ、84年ロス五輪の具志堅幸司以来、28年ぶりの金メダル。「夢かと思いました。やっとここまで来たというか。いろんなものがこみあげた」。種目別の床運動でも銀メダルを獲得。
▼16年リオ 団体総合ではただ一人、全6種目に出場し、日本を12年ぶりの金メダルに導いた。「北京、ロンドンとメダルを獲ってきて一番重たい」と喜びを爆発させた。個人総合は最終種目の鉄棒で逆転して金メダル。五輪連覇、団体、総合との2冠はともに72年ミュンヘン五輪の加藤沢男以来44年ぶりで、「何も出ないところまで出し切って獲れたので、うれしいよりも幸せ」。
◇内村 航平(うちむら・こうへい)1989年(昭64)1月3日生まれ、長崎県出身の32歳。日体大出、コナミスポーツを経て、16年12月からは日本体操界初のプロ選手。個人総合で12年ロンドン、16年リオデジャネイロ両五輪金メダル。団体総合でリオ五輪金メダル。昨年からは種目別鉄棒に専念。1メートル62、52キロ。
おすすめテーマ
2021年06月07日のニュース
特集
スポーツのランキング
-
東京五輪でもメダル争奪戦期待 笹生と畑岡が海外メジャーの舞台で熱戦展開
-
女子ゴルフ海外メジャーの1つ 笹生優花が制した全米女子オープンとは
-
POで惜敗した畑岡奈紗「悔しい気持ちのほうが大きい」「次こそ勝てるように頑張る」
-
笹生優花がメジャー初V 師匠・ジャンボ尾崎が祝福「何クソ精神の賜物」
-
畑岡奈紗 プレーオフで敗退 悲願の海外メジャー制覇にあと一歩「最後まで諦めずできた」
-
メジャー初Vの19歳笹生優花 好きな選手はマキロイとウッズ 年に1度のぜいたくはしゃぶしゃぶ
-
19歳の笹生優花、海外メジャー初優勝「信じられない」 キャディーの「信じろ」胸に…
-
クリッパーズが1回戦突破 最後はホームチームの勝利 76ersは黒星スタート
-
19歳笹生優花、涙のメジャー初V「家族に、ありがとうと」 大会史上最年少 畑岡奈紗とのPO制す
-
畑岡奈紗と笹生優花が通算4アンダーで並びプレーオフに突入! 全米女子オープン 最終日
-
畑岡奈紗と笹生優花がプレーオフ 日本勢の優勝が確定 全米女子オープン
-
畑岡奈紗 通算4アンダー暫定首位でホールアウト 全米女子オープン
-
錦織 2年ぶり4度目の準々決勝進出ならず、ズベレフにストレート負け
-
山県 日本新!9秒95 男子100メートルで日本人4人目快挙、3度目五輪へ加速
-
山県に聞く「ケガを克服できればもっといい走りができると信じてやってきた」
-
山県 9秒台の“基準”上回る最高速度秒速11・62メートル 陸連データ分析
-
山県 故障で苦闘の2年間、釣りで支えた父は船上で会話「いい息子になる」
-
高野進氏 記録狙わず“自分の走り”貫いた山県 精神面充実で復活
-
追い風になりやすく高反発のトラック 09年に女子100メートル・福島も日本新
-
桐生「ホッとしました」右足アキレス腱痛で予選のみ出場、追い風参考も10秒01
-
自己ベスト更新!多田、日本歴代6位の10秒01で2位「諦めずやってきて良かった」
-
小池「どうすればいいか分からない」10秒13の3位にも首かしげ不安吐露
-
ケンブリッジ 予選からタイム伸ばせず10秒28で6位、五輪切符条件厳しく
-
サニブラウン 米拠点でライバルたちと対照的、1戦だけで五輪選考会へ臨む
-
女子100メートル障害 青木が日本記録タイ12秒87でV「寺田さんのおかげ」
-
男子走り幅跳び・橋岡、唯一8メートル超えV 女子1500メートルは田中制した
-
内村決めた!4大会連続五輪、鉄棒でつかんだ自身初種目別金メダルへの挑戦権
-
キングあるぞ大役 内村に五輪日本選手団主将就任浮上、陸上・山県らも候補
-
内村 4大会連続五輪に「考えられない。4って凄い」「経験伝えていかないと」
-
種目別代表争い 鉄棒1位・橋本の得点が0・001高ければ、内村の五輪なかった
-
内村 愛読「鬼滅の刃」のおかげでできた!?鉄棒に“全集中”
-
跳馬・米倉、内村に及ばず種目別代表逃す 意地の「ヨネクラ」も「あと一歩」
-
北園、奇跡の五輪団体ラスト1枠ゲット「素直にうれしい」チーム最年少の18歳
-
男子団体総合の代表3枠目は谷川航 弟・翔の思い背負い「金メダルが目標」
-
白井「昔の肩書が自分の首を絞めていた」五輪出場逃し、苦しんだ過去を告白
-
トランポリン・森 日本勢初のW杯V「勝ち切れたことはうれしい」
-
池江「自信につながる」本命種目100バタVに納得 競泳ジャパンオープン
-
笠 史上10人目のノーボギー優勝、19年活動自粛「引退考えた」も周囲に感謝
-
木下 ツアー初Vがメジャー!9年目の悲願に涙…「夢見ていた場所に来られた」
-
遼 苦手コースで伸ばして20位、調子上向き 17日開幕全米オープン挑戦
-
松山 ティーショット乱れた…今季最悪79で54位後退「ずれが大きなミスに」
-
ラーム 6差独走もコロナ陽性判明で棄権「非常に残念」、体調には問題なし
-
柔道世界選手権、男子60キロ級で日本勢10大会ぶりメダル逃す
-
ビーチバレー、石島・白鳥組が五輪 インドアで08年北京出場の石島は日本男子初快挙
-
サーフィン女子・前田が夢切符「金メダルを獲りたい」、都筑も代表決定
-
ラグビー女子セブンズ、代表候補チームが6戦全勝で優勝 原が流れ変えた逆転トライ
-
松島「絶対勝つという気持ち」でフル出場、クレルモンのPO進出貢献
-
フェデラー 全仏16強入りも棄権、3回戦で3時間半の激闘 ナダルは4回戦へ
-
大坂 インスタで「あいしてるよ」、支援に感謝のコメント投稿
-
スケボー・堀米&西村が栄冠 男子・青木が五輪切符獲得
-
笹生は前半で3つスコアを落とす 首位のレキシーとは5打差 全米女子オープン最終日
-
畑岡が通算2アンダーでハーフターン 全米女子オープン最終日
-
笹生は2番でダブルボギー 首位のレキシーと3打差に後退 全米女子オープン最終日
-
笹生は1番パー発進、畑岡は1番でバーディー 全米女子オープン最終日
-
笹生 魔の3日目耐えた、1差2位「イーブンで終われて良かった」
-
服部道子氏、内容良かった笹生 カット打法で左曲がり修正