東洋大・柳田 追い風参考も9秒97!男子100メートル五輪切符がかかる日本選手権へ弾み

2024年06月16日 04:30

陸上

東洋大・柳田 追い風参考も9秒97!男子100メートル五輪切符がかかる日本選手権へ弾み
男子100メートル準決勝で9秒97(追い風参考記録)をマークした柳田大輝(中央) Photo By 共同
 【陸上・日本学生個人選手権第2日 ( 2024年6月15日    レモンガススタジアム平塚 )】 男子100メートルは昨年の世界選手権代表の柳田大輝(20=東洋大)が準決勝で追い風3・5メートルの参考記録ながら9秒97をマーク。追い風1・4メートルの決勝では10秒13を出して優勝した。10秒の壁を突破したのは、参考記録を含めると日本人7人目となった。個人、400メートルリレーとも初の代表入りを狙うパリ五輪選考会を兼ねる日本選手権(27日開幕・新潟)へ大きく弾みをつけた。
 若きスプリンターが参考記録ながら10秒の壁をこじ開けた。追い風3・5メートルが吹いた準決勝。号砲と同時に飛び出し、中盤以降も加速。フィニッシュし、9秒97の表示に会場もどよめいた。「一瞬ヨッシャ!と思ったんですけど…。すぐ横を見たら風(の表示)が出ていた。残念というか…運に見放された感じでした」。湘南の風に翻弄(ほんろう)された。

 微調整がはまった。準決勝は後ろ足となる右足のスターティングブロック位置を8センチほど前にずらした。スタート姿勢で臀部(でんぶ)を高く上げることで爆発力が生まれ、今季課題だったスタートに成功。広いストライドで押す中盤以降も、昨年から2キロ増大した筋肉量が支えとなった。「やっと出た。やりたいことができた安心が大きい。求める動きが再現できれば出せるタイム」と納得顔だった。

 陸上一家に育ち、父・輝光さん(43)は東海大で三段跳び、母・昌代さん(44)は日女体大で七種競技で活躍した選手だ。自身も中学時代から100メートル、走り幅跳びで全国トップクラス。東農大二高3年の21年、東京五輪選考会の日本選手権で高校生ながら決勝に進み、話題を集めた逸材でもあった。

 昨年の世界選手権は準決勝敗退。パリ五輪での飛躍を誓った。「10秒を切ってからが本当の世界との勝負。まず出して安定させたい」。今季は自己タイ記録の10秒02をマーク。サニブラウン不在となる五輪選考会の日本選手権は優勝候補筆頭として臨む。「自分の走りだけにフォーカスしたい」。9秒台を体感した20歳がパリ切符を懸けた大一番に挑む。

 ▽男子100メートルパリ五輪への道 昨年の世界選手権6位入賞のサニブラウン・ハキーム(東レ)は既に内定。参加標準記録10秒00を突破する9秒99をマークし、日本陸連の規定で決まった。残り2枠を今月29、30日に行われる日本選手権で争う。一発内定の条件は参加標準記録突破かつ優勝のみ。突破できなかったり2位でも可能性は残り、同選手権の成績や世界ランキング次第で切符を得る道もある。

 ◇柳田 大輝(やなぎた・ひろき)2003年(平15)7月25日生まれ、群馬県館林市出身の20歳。両親の影響で小学生から陸上を始め、館林一中3年時に全日本中学選手権で100メートル2位、走り幅跳び優勝。東農大二高2年から4年連続で日本選手権100メートル決勝進出。23年は7月のアジア選手権100メートルで優勝し、8月の世界選手権では400メートルリレー日本代表の2走で5位入賞に貢献。自己ベストは日本歴代7位タイの10秒02。1メートル83、78キロ。

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