有酸素運動とは?その効果と具体的なトレーニング方法を紹介
2024年07月04日 09:00
運動不足の解消やダイエットのために、何か運動を始めようと考えている方におすすめの「有酸素運動」についてご紹介します。
そもそも、有酸素運動とは何か?という基本的な知識から、具体的な有酸素運動の種類とトレーニング方法についてまとめていますので、ぜひ参考にしてみてください。
まず有酸素運動って何?
有酸素運動とは、長時間続けて行える低〜中程度の負荷の運動のことです。その反対に、無酸素運動とは短時間で高い負荷をかけて行う運動のことをいいます。運動不足の解消やダイエットを目的に行う場合には、続けやすい有酸素運動がおすすめです。
有酸素運動について理解を深めるために、無酸素運動との違いをより詳しくみていきましょう。
有酸素運動と無酸素運動の違い
私たちは食事で摂取したエネルギーのうち、糖質はグリコーゲンとして肝臓や骨格筋に脂質は中性脂肪として体内に貯蔵されます。
無酸素運動は、酸素を使わず筋肉中に蓄えられたグリコーゲンを消費し、強い筋運動を瞬発的に行います。しかし、筋肉内にあるグリコーゲン量は少ないため、長時間運動を続けることができません。グリコーゲンを消費してしまうと体脂肪を分解してエネルギー源とします。体脂肪をエネルギーに変換するには大量の酸素が必要となるため、酸素を取り入れながらエネルギー産生を行います。これが有酸素運動です。
有酸素運動では、筋肉を動かすエネルギーを体内の糖質や脂質から得るため、体脂肪の減少に効果があります。また脂質異常症や高血圧症、糖尿病など生活習慣病の改善やダイエット効果もあります。
有酸素運動の効果
有酸素運動にはさまざまな効果が期待できます。いくつかご紹介しますので、これを見てモチベーションを上げていきましょう。
脂肪燃焼
有酸素運動を適度な強度で長時間続けることで、脂肪がエネルギー源として利用されます。これは体脂肪の減少につながるため、ダイエットや体重管理に有用です。
エネルギーとして使われる順番は「糖質」→「脂肪」→「タンパク質」といわれています。より効率的に脂肪燃焼を行いたい場合には、無酸素運動で糖質エネルギーを消費してから有酸素運動に切り替えて、脂肪エネルギーを消費する時間をなるべく長くとるようにすると良いでしょう。
心肺機能(スタミナ)の向上
有酸素運動は心臓と肺の機能をよく使うため、持久力やスタミナの向上につながります。定期的な有酸素運動により、体が効率的に酸素を供給できるようになり、疲労しにくい体質への改善が見込めるでしょう。
基礎代謝の向上
継続的な有酸素運動によって筋肉がつくようになると、運動中だけでなく、運動後も体内の代謝が促進されます。つまり、筋肉を鍛えて基礎代謝が上がってくると、日常的にエネルギーを消費していることになるので、体脂肪が蓄積されるのを防いでくれます。
メンタルヘルスの改善
有酸素運動のような軽い運動でも、運動の気持ちよさを感じている時に脳内のエンドルフィン(ホルモンの一種)が分泌され、気分が高揚し、ストレスや不安の軽減につながります。さらに有酸素運動が習慣化できれば、自己肯定感を高めたり、自然と心の余裕を保つことができるようになるでしょう。
有酸素運動の種類
有酸素運動にはたくさんの種類がありますが、ここでは王道なものや負荷を自分で調整しやすいものなどを4つご紹介します。
ウォーキング
もっとも身近で手軽な有酸素運動がウォーキングです。特別な道具や場所が必要なく、日常生活に取り入れやすいため、続けられるか心配な方にはとくにおすすめ。さっそく、朝晩の散歩や通勤時の歩行中などをウォーキングの時間として記録してみてはいかがでしょうか。スマートフォンのアプリを活用するのも楽しいですよ。
ジョギング・ランニング
ウォーキングよりもやや負荷を上げた有酸素運動であるジョギングやランニング。筋力や持久力の向上にもつながります。関節への負担に気をつけながら、準備運動とクールダウンをしっかりと行いましょう。
サイクリング
専用の機器があれば屋外や室内でも行えるのがサイクリング。自転車に乗ることで、心臓や下半身の筋肉を集中的に鍛えることができます。ギアを重くしたり坂道を登るなど、糖質エネルギーの消費も意識しながら負荷を調整してトレーニングを行うのがおすすめです。
もちろんのことではありますが、屋外でのサイクリングは交通安全に十分注意しましょう。
水泳
近くに泳げる施設があれば、水泳も有酸素運動の選択肢に入れてみましょう。水の中では体重が軽くなり関節への負荷が少なく、怪我のリスクを抑えながら全身の筋肉を効果的に使うことができます。そのためBMI数値が高い方や中高齢者の方におすすめです。
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家の中でもできる有酸素運動
この章では、よりたくさんの方が取り入れやすい家でもできる軽めの有酸素運動を3つご紹介します。
エアロビクスダンス
"音楽に合わせて踊るだけ"と、とてもシンプルなエアロビクスダンス。なるべくアップテンポでリズミカルな曲を選曲するが良いでしょう。気分を上げてくれるため、筆者としては一番おすすめの有酸素運動です。
今までダンスをやっていない方にとっては「踊る」ことに対して苦手意識があったり、どんな動きをしたら良いのかわからないという方もいらっしゃるかと思います。そういうときは、「エアロビクスの基本ステップ」などで検索したり、YouTubeで動画を探してみると初心者でも簡単なやり方が見つかりますよ。
踏み台昇降
踏み台や階段の段差でできるのが踏み台昇降。単調な動きで飽きやすいのが難点ですが、家族やパートナー、同居人と一緒に取り組んだり、音楽やラジオを鳴らしながら行うなど工夫し、20分以上は続けて行いましょう。
バランスボール
腹筋や背筋、インナーマッスルなど「体幹」を鍛えるのに適したトレーニングギアとして知られているバランスボールですが、有酸素運動にも使えます。
まずはバランスボールに座って、両足を床につけた状態で上下に跳ねる動き「バウンス」を行ってみましょう。今度はバウンスの姿勢のまま、片足を上げた状態でバランスを崩さないように上下に跳ねてみましょう。これを「バウンスウォーク」といいます。30秒ほど続けたら反対の足に変えて交互にバウンスウォークをしてみましょう。
有酸素運動のトレーニングメニュー
継続的に取り組むためには、怪我をしないことが重要です。この章では、有酸素運動を行うときの流れをご紹介します。
ウォームアップ
膝の曲げ伸ばしやアキレス腱伸ばしなど、身体をほぐすための準備運動は必ず行いましょう。その日のコンディションを把握することは、怪我の予防につながります。
有酸素運動
前の章でご紹介した有酸素運動(それ以外でも良いです!)を一つ選んで、一定の強度と時間で行います。心拍数や呼吸を一定の範囲内で維持しながら、自分の身体に意識を集中させてペース配分を考えましょう。
クールダウン
有酸素運動のあとはクールダウンを行います。心拍数と呼吸をゆっくりと落とし、筋肉や関節を緩めるためのストレッチや、ウォーキングといったより軽い有酸素運動を行います。急激な運動の終了は筋肉や関節に負担をかけるため、ゆっくりと体を戻すことが重要です。
ストレッチ
トレーニングメニューの最後には、全身の筋肉を十分に伸ばすストレッチを実施。運動中に収縮した筋肉をほぐし、柔軟性を向上させます。全身のストレッチを行ったあとは、とくに使った身体の部位に焦点を当てたストレッチを行いましょう。
インターバルと負荷調整のコツ
トレーニング中には適度な休憩を挟みながら、負荷や強度を適切に調整することが重要です。過度な負荷は怪我の原因になりますので、次に紹介する「FITT原則」に従い自分の体調や能力に合わせてトレーニングを行うことで、無理をせずに着実に成果を積み上げていきましょう。
FITT原則に従ってコントロールする
「FITT」とは、トレーニングプログラムを設計する際に考慮すべき要素を表す頭字語です。それぞれの項目を可視化、記録しながら取り組むことで、自分の筋力や持久力がどのくらい上がったのかを確認したり、自分にとって無理なく続けられる有酸素運動を計画できるようになったりします。
Frequency (頻度)
運動の頻度を指します。つまり、1週間に何回運動を行うかを示します。運動の頻度は、個々の目標やレベルに応じて設定されます。一般的な目安としては、週に3〜5回の運動が推奨されています。
Intensity (強度)
運動の強度を示します。これは、運動の難易度や努力の程度を表します。強度は、心拍数や呼吸の速さ、重量、またはパーセプション(主観的な感じ方)などで測定することができます。運動強度は、個々の能力や目標に合わせて調整されるべきです。
Time (時間)
運動の時間の長さを指します。これは、1回の運動セッションの継続時間や、週に費やす運動時間の合計を意味します。運動の時間は、運動の種類や目標に応じて異なりますが、一般的には20分以上の運動が推奨されます。
Type (種類)
運動の種類を示します。つまり、どのような種類の運動を行うかを指します。有酸素運動、筋力トレーニング、柔軟性トレーニングなど、様々な種類の運動があります。個々の目標や好みに応じて、適切な運動タイプを選択する必要があります。
健康で活力ある毎日をもたらす有酸素運動
有酸素運動と無酸素運動の違いやエネルギー消費のメカニズム、トレーニングの基本の流れがわかると、効率的な体づくりやダイエットを行えるようになるのではないでしょうか。逆を言うと、これらのことを知らないままでは、思ったような効果が得られないと感じてしまい、挫折しやすくなってしまいそうですよね。
トレーニングは、ウォームアップからクールダウン、ストレッチまでの流れを守り、無理のない範囲で続けることが重要です。適切な頻度、強度、時間、種類を設定し、健康で活力ある毎日を目指しましょう。
監修者プロフィール
健康塾クリニック
鳥越 勝行
名古屋大学医学部卒。日本内科認定医、日本循環専門医専門医。
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