近代五種パリ五輪男子代表・佐藤大宗 病床にある父の思いも背負い「死ぬ気で戦うのみ」
2024年07月17日 07:00
近代五種
![近代五種パリ五輪男子代表・佐藤大宗 病床にある父の思いも背負い「死ぬ気で戦うのみ」](/sports/news/2024/07/17/jpeg/20240716s10020000481000p_view.webp)
ただ、周囲の思いは背負っている。夫人だけではない。父・勇蔵さん(70)の言葉も胸に秘める。「小さい頃から、父親に“やるんだったら、死ぬ気でやれ”と言われてきた。それをモットーに競技を続けている」。ずっと厳しかった。礼儀には特にうるさく、小学生の時には雪が降りしきる中、半袖短パン姿で家から追い出されたこともあったという。
「生まれ変わったら絶対にこの家に生まれたくない」「高校生になったら仕返ししてやろう」――。そう思い続けてきたが、海上自衛隊に入隊して近代五種を始めてから、苦しいときは父の姿を思い浮かべるようになった。「忘れたくても忘れられない存在。ここで逃げたらおやじに負けたことになる」――。東京五輪代表を逃し、一度は引退を決意した。その時に「体がボロボロになるまでやってみろ」と引き留めてくれたのも父だった。
そんな勇蔵さんは今、青森県内の病院で闘病生活を送っている。今年6月、佐藤は地元に帰省してパリ五輪代表に決まったことを報告した。面会できるのは30分間だけ。大きかった背中は小さくなった。「五輪に出るだけでも凄いよ」。にこにこ笑いながら褒めてくれた父に対して頭を振った。
「何言ってんだよ。ここからだよ。俺も頑張るから、おやじも一緒に頑張ろう」
昨年5月のW杯で2位に入り、W杯個人種目の日本勢初メダルに輝いた。今年6月の世界選手権(中国・鄭州)では9位。パリでは日本勢初の表彰台を目指す。もちろん覚悟は決まっている。「死ぬ気で戦うのみ、です」。次は首からメダルを下げ、父の待つ病室を訪れるつもりだ。
◇佐藤 大宗(さとう・たいしゅう)1993年(平5)10月20日生まれ、青森県出身の30歳。中学と高校は水泳に打ち込み、青森山田高卒業後に海上自衛隊に入隊し、近代五種の選手としてスカウトされる。23年W杯ソフィア大会2位。大会で頑張った日のご褒美は「大食い系のYouTubeを見ながらお酒を飲むこと」。身長1メートル74、62キロ。
おすすめテーマ
2024年07月17日のニュース
特集
スポーツのランキング
-
コービー氏の父親ジョー・ブライアントさん死去 東京で食べた「神戸牛」がコービーさんの名前の由来
-
近代五種パリ五輪男子代表・佐藤大宗 病床にある父の思いも背負い「死ぬ気で戦うのみ」
-
【全英オープン】久常涼 古江彩佳メジャー初Vに刺激 悔しい五輪代表争い終え「僕もメジャー頑張りたい」
-
熱海富士が3場所連続で2大関撃破!「先場所みたいにならないように」今度こそ勝ち越して新三役へ
-
十両・友風が中村部屋転籍後初、師匠の締め込みで初、改名後初の白星「正直ホッとしています」
-
世界席巻した“Mの系譜”!重量挙げ・宮本昌典が狙う男子40年ぶり表彰台「目標は義信さん以来の金」
-
バレー男子・石川祐希 アスリートでは初!高級レザーブランド「トッズ」の顔「フレンズ」に就任
-
大の里 3日目で初白星 連敗スタートも「何事も経験だと思うので深く考えずにやっていきたい」
-
478日ぶり白星の炎鵬 前例なき脊髄損傷からの土俵復帰「誰も想像できないような未来をつくりたい」
-
霧島 因縁の豪ノ山撃破で大関復帰へ好発進 紫色の新締め込みで心機一転
-
卓球女子・早田ひなは第3シードに 混合ダブルスの張本智、早田組は第2シード
-
古江彩佳 9月の国内メジャー参戦表明 「重圧はかかるが自分を信じてやりたい」