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睡眠で効率よく疲労回復するには?医師が教える10つの快眠術

2024年08月27日 09:00

睡眠で効率よく疲労回復するには?医師が教える10つの快眠術
残暑もまだまだ暑い! 夏の終わりの疲れを回復させる快眠テクニックを、脳神経内科医で医学博士の山下あきこ先生監修のもと紹介…

残暑もまだまだ暑い! 夏の終わりの疲れを回復させる快眠テクニックを、脳神経内科医で医学博士の山下あきこ先生監修のもと紹介していきます。

1.体内時計とホルモン分泌を整えるには、“朝日を浴びる”と“軽い運動”

朝日を浴びながらウォーキングなどの軽い運動をすることで、体内時計を整えることができます。特に太陽が昇りきる前の時間帯、できれば朝9時頃までに窓を開け、朝日を浴びてください。

朝15分くらいの日光浴をするのがもっとも理想的なので、涼しい時間帯の散歩も推奨されます。

2.朝はタンパク質を意識すると、夜の睡眠ホルモンが分泌されやすい

朝、たんぱく質をたっぷり摂ることで、夜のメラトニン生成が促進されると考えられます。

3.夕食はお腹いっぱい食べず、脂質も控えめに

夕食は軽めにして、お腹いっぱい食べるのは避けるのが得策です。

脂質の多い食事も夜は避けましょう。睡眠時に胃腸に負担がかかり、睡眠の質を下げてしまいます。

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4.ストレスを軽減する「マインドフルネスイーティング」

ストレスを軽減し、胃腸に負担をかけない食べ方があります。「マインドフルネスイーティング(食べる瞑想)」と呼ばれるテクニックです。

食事中にスマートフォンを見たり、考えごとをしたりするのはいったん休止して、食べることに集中してみましょう。味や食感、香り、後味などのほか、その料理を作ってくれた人のこと、食材を用意してくれた人、生産者、お皿、浮かんでくる思いなどを楽しみましょう。

アメリカでは、肥満や糖尿病の治療にも役立てられています。

5.寝る前はカフェインやアルコールは避ける

寝る前にはカフェインを含む飲み物を避けましょう。

ただし、カフェインを含むものでも玉露の緑茶はカフェインの覚醒効果を打ち消すテアニンを含むため、適量ならば睡眠を妨げないと言われています。

アルコールは一時的に眠気を誘発するので眠るために飲んでしまうという方もいるようですが、睡眠の質を低下させ、夜中に覚醒しやすくなります。

温かいノンカフェインのハーブティーなどはおすすめで、冷たい飲料は胃腸の負担になるので避けましょう。

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6.睡眠の質の向上に有効な栄養素・成分を意識する

脳の疲労回復を促進(※1)する「グリシン」

グリシンは血管を拡張し、体温を調節することで、睡眠を促す効果があると言われています。脳疲労の回復に重要な成分のひとつで、不足すると不眠の原因になる可能性があります。

グリシンを多く含む食品は、エビ、カニ、ホタテ、牛すじ、鶏軟骨、豚足など。また、実はグリシンは、コンビニのおにぎりにも保存料として使われることがあります。
(※1)脳の疲労回復とは睡眠の質の向上のことです。

肉体の疲労回復を促進する「タウリン」

タウリンは、筋肉の回復を助け、疲労を解消する可能性のほか、肝機能の改善など、内臓の疲労回復もサポートすることがわかっています。

睡眠で疲れが取れない場合には、タウリンを含む魚介類(とくにイカやタコなど)を積極的に摂ることもおすすめです。

脳や神経を休めることに役立つと言われるグリシンのみでなく、筋肉などの臓器の細胞に作用することがわかっているタウリンも併せて摂ると、脳と身体への相乗的なアプローチが期待できます。

興奮した神経を落ち着かせる「GABA(ギャバ)」

GABA(ギャバ)は「γ(ガンマ)-アミノ酪酸」というアミノ酸の一種で、もともと哺乳類の脳や脊髄に存在し、神経伝達物質としての役割を果たしています。

活動時に優位になる交感神経を抑制する働きがあり、心理的なストレスを和らげてスムーズな眠りを促します。

穀物や野菜、果物に多く、発芽玄米やお茶、カカオ、トマト、キムチなどに含まれます。

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神経伝達物質を作る「タンパク質」

タンパク質は、神経伝達物質を作る重要な栄養素です。

タンパク質を構成する成分のうち、トリプトファン、チロシン、フェニルアラニンなどの必須アミノ酸は、神経活動の伝達に必要不可欠な神経伝達物質を作ります。

トリプトファンは、幸せホルモン「セロトニン」の材料となる成分。セロトニンはノルアドレナリンやドーパミンの分泌の調整をしており、不足すると抑うつ状態や不安障害になりやすく、不眠などの睡眠障害との関連が示唆されています。

トリプトファンは乳製品や大豆製品、魚類、ナッツ類、バナナや卵、小麦胚芽などに多く含まれます。

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セロトニンの合成に不可欠な「ビタミンB6」

セロトニンの合成には、トリプトファンと合わせてビタミンB6も必要となります。ビタミンB6は玄米や牛・豚・鶏レバー、魚の赤身に多く含まれます。

 

脳神経の正常な働きを助けてくれる「ビタミンB12」

快眠を得るには、自律神経を安定させる必要がありますが、そのために欠かせないのが脳神経の正常な働きで、ビタミンB12はその働きをサポートします。

ビタミンB12はシジミや赤貝などの貝類や牛・豚・鶏レバーなどに多く含まれます。

ドーパミンを作るのに必須といわれる「鉄」

神経伝達物質の一つであるドーパミンは主に筋肉に分布しており、快活さや元気さをもたらします。

ドーパミンがしっかり分泌され、日中に元気に活動していれば、夜になるにつれて眠気がやってきて、自然に眠りにつくことができます。

ドーパミンはフェニルアラニンやチロシンという成分から合成され、その過程で鉄が使われます。鉄はヘム鉄と非ヘム鉄の2種類に分かれるので、それぞれ摂取できる食材が異なります。

ヘム鉄は牛・豚・鶏レバーや牛肉、赤貝、マイワシ、カツオ、マグロなどに多く含まれ、非ヘム鉄はレンズ豆や納豆、枝豆、小松菜、ひじき、厚揚げ、サラダ菜などに多く含まれます。

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レタスに含まれる成分「ラクチュコピクリン」

レタスに含まれる成分であるラクチュコピクリンには、睡眠を促進する効果があることがわかっています。

とくに夜にレタスを食べると、寝付きが良くなる効果が期待できます。誰もが知るイギリスの有名なウサギのキャラクターの物語で「畑でレタスを食べたら眠ってしまった」というくだりがありますが、実はこれもラクチュコピクリンの効果かもしれません。

サプリメントや漢方で摂れる「シゴカ」

「シゴカ」とは、エゾコウギという植物の根茎の部分を使った生薬です。聞きなれない名前ですが、SNSでバズった「キューピーコーワ ヒーリング」にもエゾウコギ乾燥エキスが配合されています。

シゴカの主要な活性成分であるエレウテロサイドは、ストレスホルモンであるコルチゾールのレベルを低下させ、身体の自然なリラクゼーションを促進します。

これにより、入眠が容易になり、深い睡眠が促進されます。

7.就寝の2時間前、ぬるめのお風呂に浸かる

入浴は、40度のぬるめのお湯で、就寝の2時間前がおすすめです。就寝時に自然に深部体温が下がり、眠りに入りやすくなります。熱いお湯の湯舟に浸かるのは避けましょう。

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8.睡眠環境を整える

睡眠環境を整えることも、質の高い睡眠に不可欠です。以下のポイントに注意して、快適な睡眠環境を作りましょう。

室温と湿度

夏の夜には、室温を16〜25度に保つことが理想的です。また、湿度は40〜70%の範囲で管理するのがおすすめ。湿度が高すぎると不快感を引き起こし、自律神経が乱れやすくなります。

寝具は自分が心地よいものを

寝具は自分が触り心地が良いと感じる、リラックスできる素材を選びましょう。リネンやコットン製のシーツなど、汗を吸収しやすい素材が適しています。

シルクは天然素材ですが、吸湿性が低くべたつきやすいのであまりおすすめはできません。色に関しては、薄い青色がリラックス効果が高いといえます。

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照明は完全に暗くする

部屋を完全に暗くするほうが理想的な眠りを得られると考えられます。脳波はわずかな光でも影響を受けるため、真っ暗な環境で眠ることで、アルファ波が促進されるためです。

ラベンダーの香りはおすすめ

ラベンダーなどのリラックス効果のある香りを使うと、脳波が安定し、良質な睡眠が得られます。自分が好きな香りを選ぶこともポイントです。

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9.寝る前は興奮するコンテンツは避ける

寝る直前に感情が高ぶると脳が覚醒してしまい、眠りが浅くなります。寝る1時間前からは静かに過ごし、リラックスする時間を持つことが大切です。

パソコンやスマートフォンのブルーライトは脳を覚醒させてしまうので、電灯の下で日記を書いたり、家族と穏やかに話をするといった過ごし方がおすすめです。

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10.身体の感覚に意識を向ける

ふとんの中に入ってからぜひ実践してほしいのが、マインドフルネスに通じる、ボディースキャンと呼吸法です。

ボディースキャンとは、身体の感覚に意識を向ける瞑想のこと。目を閉じて、呼吸に集中しながらボディパーツひとつひとつに意識を向け、CTスキャンで調べるかのように、自分の意識で身体をスキャンしていくのです。眠る前10分くらいの時間をかけて行います。

身体のどの部分に緊張があるかに気付いて、そこをリラックスさせてあげることで、疲労の取れる効率的な睡眠を得る一助となるはずです。

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監修者プロフィール

山下あきこ

内科医、脳神経内科医、医学博士。医療法人社団如水会今村病院 神経内科/株式会社マインドフルヘルス代表。佐賀県鳥栖市生まれ。1999年 川崎医科大学卒業後、総合診療部に入局。2001年 福岡大学病院神経内科に入局。2005年 フロリダ州メイヨークリニックジャクソンビル神経内科に留学し、パーキンソン病について研究。2006年 Movement Disorder Societyにて国際学会で若手研究者の賞を取得。2007年 如水会今村病院理事、脳神経内科医として勤務。2016年 株式会社マインドフルヘルスを設立。マインドフルネス、well-being、栄養、運動、睡眠、脱依存、習慣化という7つの要素にを軸にした「セブンアプローチ」という健康法を提唱。現在は、診療、産業医活動、YouTube配信、執筆とマルチに活躍中。
著書に、『マインドフルネスこそ最強のクスリ』(スール)、『やせる呼吸』(二見書房)、『こうすれば、夜中に目覚めずぐっすり眠れる』(共栄書房)、『死ぬまで若々しく元気に生きるための賢い食べ方』(あさ出版)、『悪習慣の罠』(扶桑社新書)、『「やめられない」を「やめる」本』(小学館)など。

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