“守備の人”飯山が決めた!想定外「打て」のサインに燃えた
2012年11月01日 06:00
野球
サヨナラだ!タイだ!コナミ日本シリーズ2012は31日、第4戦が行われ、日本ハムが延長12回サヨナラ勝ちで2勝2敗のタイに戻した。両軍無得点で迎えた12回1死一、二塁から、プロ15年目の飯山裕志内野手(33)が左中間二塁打を放ち、今シリーズ初の延長戦を制した。総力戦で劇的勝利をつかんだ栗山ハムが、第5戦で一気に王手をかける。
伏兵が大仕事をやってのけた。4時間15分の死闘にピリオドを打つ劇的なサヨナラ打。ヒーローの飯山はベンチを飛び出したナインに、あっという間にもみくちゃにされた。
「ベンチでは“いいところで回ってくるんじゃないの?”ってハッパ掛けられてましたから。力がないので打球が上がると不安で…。抜けろ!というより落ちろ!と思っていました」
0―0の延長12回1死一、二塁。「(次打者の)ダイカン(陽)の方が確率は高いだろうしな」とバントのサインを想定して打席に向かったところ、ベンチは「打て」のサイン。「いろいろ考えていたけど、あれで気持ちが一つに固まった。自分で勝負してくれるんだ、って」
栗山監督は「飯山は心の準備ができているから思い切りスイングできる」とベテランの一振りに懸けていた。西村の速球に狙いを定めて、振り負けないことだけに意識を置いた。バットを一握り短く持ち、スイングをコンパクトにすることで149キロ直球を左中間にはじき返した。自身4度目の日本シリーズで、通算8打席目にして初安打。初安打がサヨナラ打となるのは史上初の快挙だ。
元来は守備の人。本塁打は入団13年目の2010年に放った1本だけ。それでも内野ならどこでも守れるユーティリティーぶりを高く評価する栗山監督は、シーズンを通じてベンチに置き、ここぞの終盤では守備固めとして起用してきた。15年間の生涯打率は・202だが、他球団の編成担当者は「飯山がFA宣言したら絶対に獲りにいく」と話すほど、チームになくてはならない貴重な存在だ。
飯山自身も置かれた立場を理解している。試合前練習では守備に時間を割き、打撃練習後はロッカーに引き揚げる選手も多い中、グラブを手に最後までノックを受け続ける。栗山監督も「ほんとに苦労してきた裕志(飯山)がね。今まで一生懸命やってきた結果。感動しました」と感謝した。
延長12回を戦って、控え野手は、捕手の近藤ただ1人だった。通常、控え選手はベンチ裏で素振りなどを行うが、出番を終えた選手が多かったため「ベンチに人がいすぎて座れない状態だった」と飯山が苦笑いしたほどの総力戦でつかんだ1勝。戦前に栗山監督が「歴史に残るような戦いをしたい」と話していた通りの激闘で、対戦成績を五分に戻しただけでなく、サヨナラという最高の形でチームに勢いをつけた。
「本当の勝負はあしたから始まります」と力強く話した栗山監督。足踏みはしない。きょう一気に王手をかける。
▼日本ハム・福良ヘッドコーチ(飯山のサヨナラ打に)毎日の努力の結果だな。
◆飯山 裕志(いいやま・ゆうじ)1979年(昭54)7月13日、鹿児島県生まれの33歳。れいめいでは1年秋の明治神宮大会に出場したが、甲子園出場はなし。97年ドラフト4位で日本ハム入団。05年に自身初の開幕1軍を果たし、07年には自己最多の105試合に出場。10年8月20日の西武戦(札幌ドーム)でプロ初本塁打を記録した。主な守備位置は遊撃だが、ユーティリティープレーヤーとして活躍。1メートル78、76キロ。右投げ右打ち。
≪球団31年ぶり3度目≫日本ハムが延長12回飯山の左中間二塁打でサヨナラ勝ち。シリーズのサヨナラ試合は通算34度目になるがチームでは62年の阪神第5戦(○6―4)、81年巨人第1戦(○6―5)、12年巨人第4戦(○1―0)と31年ぶり3度目。ちなみに東映時代の62年は1勝2敗1分けで迎えた第5戦の延長11回に岩下の本塁打で決着。勢いに乗って6、7戦と3連勝で一気にシリーズを制しており、今季も再現したいところだ。なお、シリーズの1―0サヨナラ勝利は、70年第1戦で巨人が延長11回に黒江の本塁打で決めて以来42年ぶり2度目。今シリーズは第2戦でも巨人が1―0で勝利を挙げているが1シリーズで1―0の両軍応酬は初めてだ。
≪V確率46%≫日本ハムが2連勝で対戦成績を2勝2敗のタイに戻した。シリーズで2勝2敗となったのは25度目。過去24度のうち、追いついたチームの優勝は11度でV確率は46%になる。今シリーズは、これで初戦から全てホームチームが勝利。開幕から本拠地チームが4連勝したのは全7試合で本拠地チームが勝った03年ダイエー―阪神以来5度目となった。
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