3年近く塀の中、それでも衰えぬ速球…問題児右腕のラストチャンス
2015年12月29日 09:20
野球
高校生の遊撃手が全体1番で指名されるのは、93年のアレックス・ロドリゲス(現ヤンキース)以来だった。「彼が将来のスター候補か」と思い、一塁ベンチ前でノックを見ていた。小柄ながら全身バネのような肉体で、とにかく一塁への送球が凄まじく速かった。
手元のノートに目をやっていると、「Watch Out!(危ない)」の大声。すると、大きくそれたブッシュの送球がすぐ真横を通過し、そのまま観客席へ飛び込んだ。「危なかった」と肝を冷やしたが、その時、グラウンドにいた記者は自分だけ。「気が散るから、どけ!」という警告だったのかもしれないと思った。その後の取材。鋭い目つきとふてぶてしい態度が印象的だった。
そんなブッシュの野球人生はまさに波瀾万丈だ。その数週間後にバーで乱闘事件を起こし、デビュー前に出場停止処分を受ける。遊撃手としては伸びず、07年に投手に転向したが、ケンカや酒を飲んでの奇行など、トラブルが絶えない。09年2月にブルージェイズにトレードされた直後には、パーティーで女性の頭を目がけてボールを投げつけて、即解雇された。09年は野球から離れていたが、10年にレイズがマイナー契約でチャンスを与える。ところが、12年にひき逃げ事故。「彼の野球人生はもう終わった」と誰もが思っていた。
今回、レンジャーズはブッシュに再びチャンスを与えた。3年近く「塀の中」にいたが、今でも95マイル(約153キロ)の速球を投げているという。ドラフト全体1番で指名されながらメジャーに昇格できていないのは、過去に66年のスティーブ・シルコットと91年のブライエン・テイラーの2人しかいない。不名誉な3人目となるのか、それとも映画のようなストーリーを演じるのか。これがラストチャンスであることは間違いない。(記者コラム・甘利 陽一)
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